第2話 青い髪
光太を後部座席に乗せて東大阪市の街を駆け抜ける。
時刻は七時四十八分。開園の十二分前だ。
とはいえ職員さんたちは既に園内に集まっている。少しばかりはやく園内にやって来ても、それはそれ、融通は利かしてくれる。
なにせ共働き前提なこのご時世である――。
「すみません、雪下です!! 少し早いですけど、預かっていただけませんか!!」
「まぁ、青志くん。それに光太くん」
「せんせー、おはよー!!」
パステルカラー。薄い水色をしたペンキで塗られた門の前。
僕と光太が挨拶したのは、光太が通っているひまわり組の担当の幼稚園教諭である志保さんだ。見た目から、三十歳をちょと越えたベテラン先生という感想を持っているが――実際のところどうなのかはよく分からない。
ただ、悪い人ではないのは間違いない。
それはこれまでの会話から確信している。
後部座席。過去数十年にわたり三人の子供を乗せて走ってきた歴史のせいか、黄色いビニールカバーがぼろぼろになった椅子。そこから手慣れた感じでひょいと降りた光太は、とてとてと先生の方に駆けていった。
志保さんの膝のあたりにひっしりと組み付いた光太。
随分と、うらやましい懐き方をしているものだ。
そんな懐かれ方に、志保さんの方もまんざらでもない表情を見せた。
なんにしても、これでもう安心だな。
それじゃぁと僕は志保さんに背中を向けた。途端、志保さんが光太に注いでいた視線を上げる。
「あぁ、そうだ、ちょと待ってくれる、青志くん」
「……なんですか?」
「旭く……うぅん、さんにね、渡しておいて欲しいものがあるの」
一瞬、砂を噛んだような顔になりそうだったが、必死に堪えた。
あの男、いつの間にこの人にも粉をかけたんだろうか。
本当にろくでもない。
しかし面と向かって頼まれてしまっては、断るのはとてもできなかった。
◇ ◇ ◇ ◇
光太を幼稚園に送って自宅に戻ってくると八時だった。
僕の通っている学校は、ここから自転車で通える距離だ。だいたい、十五分もあればつくことができる。
だから、それを確認することはとても容易なことだった――。
バスルーム。
その手前にある脱衣所の洗面台。
鏡の前に立って僕は自分の頭を確認した。
より具体的には生え際――つむじの当たりである。
その辺りが妙な色合いになっていないか確認したのである。
禿げを確認しているわけじゃない。
この頃は、若くして禿げになる人も多いと聞く。生活習慣の乱れか、それとも地球環境的な要因なのかは分からないが、できれば僕もなりたくないものだ。
今の毛量ならば――たぶん、四十くらいまでは大丈夫だろうと見積もっている。
ショックなことがあって抜けてしまったら分からないけれど。
しかし、ショックなことがあっても、髪が抜けない場合もある。
逆に髪が真っ白になる――ということも漫画じゃないがよく聞く話だ。
そしてどちらかといえば僕の悩みはそちら側。
禿げより、白髪化の方に近かった。
そう――。
「……今日は青くなっていないな」
僕の髪は青くなる。
それは、ここ一ヶ月、急に僕の体に現れた症状だった。
これまで一度もそんなことなんてなかった。
そもそも、髪の毛が青くなるだなんて、あり得ない話である。
生理学上人間の髪が青くなることなんてあるのだろうか。
白髪化はよく聞くが、色がつくだなんて。
茶や赤毛はともかく、そんなのは自分で染めない限りにはあり得ないはずだ。
加えて、僕の通っている高校は、校則にそこそこうるさい学校だ。
茶髪でも文句を言われるのに、青髪だなんてした日には、教師たちに睨まれることになるのは目に見えていた。
というか、よっぽどの自意識過剰男でもない限り、青髪になんてわざわざ頭を染めないだろう。
そんな自意識過剰かつ目立ってしまう事態に、僕は不本意ながら巻き込まれていたのだった。そう、本当に不本意なことに。
ゆっくりと頭頂部を鏡に近づける。
時刻は八時十分。まだ、登校までには十分余裕がある。
鏡に頭皮の油脂を刷り込むみたいに近づいた僕は、念入りに一本一本をより分けて確認した。すると、染め残した一本をたまたま指先が探りあてた。
空の青さとは違う冷たい青。
氷のような透明感を伴ったその毛髪は、まるで氷柱あるいは氷細工の様だった。
昔テレビか何かで、光ファイバーケーブルを見たことがあるが、それに近いように思う。それが群生すると光の加減が水色の髪に変わった。
綺麗とは思わない。
ただただ、正直に言って面倒くさかった。
だってそうだろう、こんな髪、だれも欲しくなんてない。
初めて髪が変質した時は、どうやってごまかそうかと焦った。
幸いなことに、僕は我が家で一番の早起きだ。朝起きて、自分の体の変化に気がついたとき、充分に対応する時間はあった。
コンビニに走っておにぎりを買いあさるとすぐに家に戻った。そのまま学校に急病の連絡――声色を変えて――を入れて、家族には学校の用事があるので早く出ると書置きを残して家を出た。
薬局が空く時間まで、人目を避けて近鉄線やJR線の高架下をうろついた。薬局が開くと染毛剤を買い、そのまま市街地にある公園の多目的トイレで髪を染めた。
初めてにしては僕は自分の髪をムラなく綺麗に染められた。
けれど、いつ、それがちゃんと染まりきるのか――色が落ちなくなるほど毛に色が染みついたのか――確信をなかなか持つことまではできなかった。
途中何度か多目的トイレを叩く音がした。
本当に困っている人たちだったらどうしようと思ったが、それでも、中から出ることは僕にはできなかった。それを無視しなくてはいけない自分が情けなく、そして、胸が痛むほどに悲しかった。
こんなことで追い詰められて気がつく。
どうしようもなく、僕は臆病で利己的な人間なのだと。
昼過ぎになり、ようやく髪にしっかりと黒色が馴染んだのを、何度も何度も髪を洗って確認すると、僕はようやく多目的トイレを出た。
行く場所がなかった。
ネットカフェに入るにも、学生の身分だ、平日に何をしているんだと店員あるいは店員に呼ばれた警察官に咎められるのは目に見えていた。図書館も近くにない。家に帰ろうかとも思ったが、僕の生活臭と染毛剤の匂いを家の中に漂わせたくなくてそれはためらわれた。
結局その日は司馬遼太郎記念館で一日を過ごした。
正直、僕には歴史小説というのは高尚過ぎて分からなかった。なので、記念館のディスプレイを眺めていても、かの文豪の偉大さがどういうものか理解しかねる部分があった。平日だというのに、そこそこ人の入りがあったことを考えると、やはり彼は偉大な文豪なのだろう。
一度染めてから、僕の髪が突然全て青くなり始めることはなかった。
しかし、青色の髪は着実に僕の頭皮から生え出してきていて、気がつくと、小指の先ほどが青色に染まっている。
学校にはもちろん、家族にも知られてはならない。
だから僕は、こうして毎日――光太を幼稚園に送ってから、自分の頭の状態を確認するようにしていた。
「……ふぅ。まだ、大丈夫か」
けれども、そろそろのような気がする。
これまでの経験から、ほぼ、一週間周期で生え際は気になるくらいに青くなる。
染めたのは四日前。
だからそろそろ準備が必要だ。
指先で、染め残した一本を抜き取る。
嘆息して僕は鏡から頭を離した。腕時計で時間を確認する。時刻は八時十五分。
制服には既に着替えている。学生鞄を持って出れば、十分、登校可能な時間だ。
頭の中で今日の予定を考えた。
六限授業。少し早く帰ることができる。
部活には入っていない。夕飯の買い出しをして、家に戻って冷蔵庫にそれらを詰める。それから薬局に寄って染毛剤を買い、何食わぬ顔をして光太を迎えに行く。兄弟のために料理を作る。宗介兄さんの帰りを光太と待つ。
大丈夫、できる。
既に二回はやったことだ。
二回できたことは三回できる。
自信を持つんだ、雪下青志。
鏡に映った憂鬱な顔をした高校生を励ました。平均的な身長に平均的な容姿。染みやそばかすもなければ男性らしさもない。中性的だと言われるが、それは決して男として魅力があるという訳ではない。どこか頼りないという意味が込められた僕の容貌に対する評価は、見れば見るほど――自信を喪失させた。
いけない。
両手で頬を張ろうと腕を上げた時だ。
「ただいまーっ!! って、誰もいねえか!! ははっ!!」
僕の計画に存在していなかった人物が唐突に我が家に帰宅した。
どくんと一瞬強く高鳴った心臓を頬を叩くために上げた腕で抑える。
大丈夫だ、上手くごまかせる。
しかし、こちらに向かって近づいてくる足音に、どんどんと僕の胸のそれは早鐘へと変じていく。心臓から送り出されるその熱い血液に、体も心も火をつけた蝋燭のように蕩けてしまいそうだった。
ひときわ大きな足音を最後にそれは止まる。
震源地は近く、洗面所の入り口の方向からだった。
金色の頭を掻き揚げて後ろに撫でつけ、赤いプリントシャツに色落ちした藍色のダメージジーンズ。銀色のシルバーピアスを右耳に三つ、左耳に二つ付けたその男は、カラーコンタクトを入れた紅色の目を細めて僕を見た。
ただ、家族に対する親愛があるだけだ。
一方僕の瞳には、この恥知らずの兄に対する憤りが静かに燻っていた。それが彼に見えると見えないとに関係なく。確かにそれは僕の目の奥にあった。
だから、構わずにいつものように眉根を寄せる。
――
僕たち雪下四兄弟の次男にして、家族に恥をかかせる生粋の遊び人。手のつけようのない女ったらし。将来設計も未来予測もできない阿保。そして、
補導されて、何度僕が布施警察署迎えに行ったことか。
「お? なんだ青志? サボりか?」
「……兄さんと一緒にしないでよ」
「俺は学校に行ってないんだからサボりも糞もねえだろ。バカ言うんじゃねえよ」
「バカなのは兄さんだろ」
むんと甘ったるい匂いが僕の鼻孔を衝く。
女の香水の匂いだ。
朝、帰ってきた兄はいつもこの匂いを漂わせている。
首元には赤い腫れがあった。鎖骨にも。小麦よりもよく焼けた黒色の肌の上にも、そのなまめかしい鬱血の赤はグロテスクに映えていた。
旭兄さんの肌の色はいつだって浅黒い。
冬でもそうなのだから、いったいどうしているのだろう。サロンに通うお金があるのなら、家に少しでもお金を入れて欲しい。
それなら、宗介兄さんも、少しは自由な時間ができるだろう。
なのに……。
青いダメージジーンズに巻かれたベルトは、急いで締めたのか、それとも誰かに締めて貰ったのか、いつもの位置より一つずれていた。
癖のついた溝と擦れてくすんだ銀色が鬱陶しい気分にしてくれる。
そんなベルトを外すと、旭兄さんはズボンをおもむろに脱ぎだした。脱衣所の隅にある縦型の洗濯機の蓋の上にそれを置くと、ちょうどよかったと彼は笑う。
「俺の部屋に行ってバスタオル持ってきてくれよ」
「……嫌だよ。僕、学校に行かなくちゃ」
「少しくらい遅れても大丈夫だろう」
世間を自分の常識で生きている兄さんは、こともなげにそんなことを言った。
僕の苦労も、心労も、悩みも、何も知らないでこの人は――。
嫌だよ、と、叫ぶように言って、僕は彼の横を通り過ぎようとした。すると、突然に彼は僕の肩を掴んできた。
二歳違いの兄。
たった二年の歳の差だというのに、体格も、膂力も、そして人間的魅力も、まるで違う。全然違う。どっちもこちらの兄の方が上等なように造られている。
神様と言うのは不公平であり、そして、理不尽である。
けれどもせめて内面だけは、彼に負けたくはない。
だから――。
「おい、どうした青志」
「……え?」
「ぼっとして。悩み事か?」
なんでもないよという横で、兄は赤色のプリントシャツを脱ぎ捨てた。
流行の漫画のキャラクターが印刷されたそれを脱ぐと、だらしのない性格に反して整った体が現れた。
盛り上がった胸筋に六つに割れた腹筋。
力まずとも分かる二の腕の盛り上がり。
また、違いを見せつけられて、嫌な気分になる。
人間的には絶対的に負けていないのに絶望的に男として敵わない。そんな思いをさせられるのがたまらなく悔しかった。宗介兄さんにはこんなこと思わない。けれど、旭兄さんにはどうしても負けたくないという気持ちが働く。
きっと歳が近いせいだろう。
あるいは、この
だらしないのに――こんなのって卑怯だ。
「兄さんに付き合ってると遅刻しそうだから焦ってるんだよ」
だから誤魔化した。
「捕まるお前が悪い」
「どういう理屈さ」
「とにかく、俺の部屋からバスタオルを持ってきてくれ。あぁ、体洗うタオルは大丈夫。昨日、誰かが使ったのを適当に脱衣籠から抜いて使う」
「そこまで分かってるなら、脱いだ服をなんで洗濯機の上に」
「パチスロ。今日は何日だ青志。ゾロ目の日だ。暗黙のイベントデー。シャワーを浴びたら、整理券を貰いに並びに行く」
「またそんな。真面目に働いてよ」
ははっ、と、乾いた笑いを漏らす旭兄さん。褐色の下腹部を晒した彼は、宣言通り脱衣籠の中に放り込まれていた手ぬぐいを手に取ると、股を隠すことなく僕の方を見ていた。まるで、バカなことを言うなよと、そんな感じに。
「それともう一つ」
「なに」
「軍資金が足りない。一万貸してくれ、三倍にして返す」
「返してもらった覚えがない」
「それをミキにも言われててせびりそびれた。家族に頼むのは心苦しいんだが、種銭がないと勝てるものも勝てない。頼む」
最低だなと思いながらも断れない。
たぶん、僕が貸さなければ、兄さんは他の女性にせびりに行くことだろう。
そういう人なのだ、この男は。
二股どころではない、七股、八股――二桁かもしれない。
とにかく、兄さんは多くの女性と関係を持っている。
今朝だって志保さんに手紙を託された。
あれはこっそりと捨てるつもりだけれど。
こんなろくでもない男に、どうして惹かれるのか理解に困るのだけれど、とにかく、兄さんはモテるのだ。そして、それに胡坐をかいて貢がせる。
ホストでもやれば、きっと僕たちは、東がつかない大阪の一等地に、家を建てることができるだろう。
もちろん、そんな金で暮らすのは本意ではない。
そうなったら僕は、この兄を見捨てて、宗介兄さんと光太の三人で、別の家に住む。こんな性獣と一緒に暮らすくらいなら、西成区に住む方がまだマシだろう。
同年代と比べて、さして大きいとも思えないそれを掻きながら、兄は言う。強烈な女の匂いがむせ返るように脱衣所に満ちた。
この匂いが制服に移るような気がして僕は慌てて脱衣所を出た。
「おい、頼むよ」
「嫌だよ」
「高校、パチ屋までの通り道だから、乗せてってやるよ」
「兄さんの、バイクじゃなくて原付でしょ。なに言ってるのさ、捕まるよ」
「バレなきゃ関係ねえ」
「……最悪。分かった、だから、早く済ませてね」
オーケィと、弾んだ声が背中でする。バスルームの扉を豪快に開ける音がして、それから兄の鼻歌が聞こえてきた。
ブルーノマーズのグレネード。
歌詞の意味を分かっていて歌っているのだろうか。
なんにしても、女ったらしには絶対に似合わない歌だった。
諦めて、僕はリビングに向かう代わりに、僕たちの部屋がある二階への階段を上り始めた。登りきるとトイレと部屋が三つずつ。階段を上って正面に二つと右手に一つだ。正面の二つは僕と旭兄さんの部屋で、左手――東側の部屋が兄さんのそれだ。右手の部屋は、宗介兄さんと光太の部屋になっている。
本来なら、この家の借主である宗介兄さんが、一部屋使っていたっておかしくないのに。
こういうのを厚顔無恥というのだろう。
鉄面皮の宗介兄さん。
厚顔無恥の旭兄さん。
天真爛漫の光太。
我が兄弟の表情は実にバリエーションに富んでいる。
本当に兄弟なのだろうかなんて嘆息が漏れるくらいに。そんなことを思いながら、僕は旭兄さんの部屋の扉を開けた。
散乱するペットボトル、雑誌、スロットのコイン、電子機器のケーブルの束、たばこの箱。ありとあらゆる、青少年にとって有害なものを詰め込んだその部屋で、僕は――慣れた調子で窓際にかけられたバスタオルを手に取った。
ふと、小ざっぱりした勉強机に目が言った。
書棚もついていない、白い天板をしたその上には、何冊かのパチスロ雑誌と、写真立てが載っていた。シルバーフレームの写真立ての中に入っているのは――旭兄さんの彼女でもなく、憧れの人でもなく、友人でもない。
幼い顔をした僕と、まだ金髪に染める前の黒い髪をした兄だった。
飾り気のない前留めの帯がついた青い服を着た僕と彼は、肩を組んで、まるで心の通い合った親友のように、写真の中で笑っていた。
父さんと母さんが唯一僕らに残してくれたもの。
僕と兄さんをつなぎとめる、たった一つの美しい絆。
だから僕は、どれだけ旭兄さんを悪しざまに言っても、心のどこかで嫌いになりきれないのかもしれない。やはり、僕たちは兄弟なのだ。どんなにその本質が違っていても、血の繋がった、かけがえのない兄弟なのだ。
愛情の裏返しは憎悪だという。愛していなければ、僕は、これほどまでに兄のことに思い煩うことはないだろう。
なんてね。
「……朝っぱらから何を考えているんだろう」
兄弟愛なんてばかばかしい。
僕はさっさと窓のカーテンレールにかっているハンガーを手に取ると、そこからたばこの香りがするバスタオルを手に取った。そしてそのまま、駆け足に階段を降りると、僕の部屋の真下にあるバスルームに足を運んだ。
ダメージジーンズの上にバスタオルを置く。
「洗濯機の上に置いておくから」
「おう、サンキュー、愛してるぜ青志」
「気持ち悪い」
「俺もそう思う」
弟に向かって、愛しているなんて言うことなんてないだろう。
気持ちが悪いと思っているなら、なおのことそんなことを口にするなよ。
すりガラス越しにシャワーを浴びる兄を睨みながら――僕はふと、しょうもないことを聞いてみたくなって唇を弾いた。
「……旭兄さん」
「ん? なんだ?」
「……パチスロって儲かるの?」
ここ一ヶ月。例の青髪化のせいで、僕はひどい金欠状態だった。
アルバイトをしていない僕に――お小遣いで整髪料を用意するのは厳しい。
だから、楽してお金が稼げるのなら、悪くないかな。
優等生の癖にそんなことを思ったんだ。
「やめとけ。真面目な奴がバカ見る遊びだ。まだ、競馬の方が見込みがある」
兄はそんな僕の悩みを感じとることもなく、鼻歌混じりに答えた。
曲は、いつの間にかジャスト・ザ・ウェイ・ユー・アーに変わっていた。
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