004 ワンダーランドⅣ
裏路地に入り、狭く細い道を進んでいくと、突き当たりで二人のプレイヤーが複数の男性プレイヤーに囲まれていた。
パンチパーマのリーダーを筆頭に仲間が後ろで剣を見せながら
だが、二人の雰囲気は似ていない。歳は十四、五歳と言ったところだろうか。この街はあまりいい所ではない事はこのゲームをプレイしている人間なら分かっているはずだ。オレンジ色のセミロングと銀髪の少年。
上半身は赤色の服、もう一人の少年は水色の服だ。下半身の方、セミロングは中途半端なスカートに黒い靴、少年は黒いズボンに黒い靴を履いていた。
「何を言っているね‼ 約束が違うよ! 契約は終了したね!」
セミロングの少女が男たちに向かって声を上げた。男たちはニヤニヤと馬鹿にした薄笑いを浮かべている。パンチパーマのリーダーたる男子は、口をくちゃくちゃしながらかけていたサングラスを整えると口を開き、
「なにを言ってやがる‼ まだ、契約は終わってねぇーんだよ。頼むよ。こっちだって困っているんだ。それによぉ、今やほとんどのプレイヤーがここに閉じ込められているんだから助け合いが大事だろ?」
吐き捨てたガムが道の片隅にへばりついている。
「もう嫌ね‼ なんでお前らの用心棒をせんといかんのや‼ こっちは二人でやるからもうかかわらないでほしいよ!」
嫌そうな顔をしてセミロングの少女は男たちを睨んだ。そして、少年の方も睨みながら右腕には怪我をしている。
「これ以上、私たちに関わらないでほしいね。帰ってくれない?」
セミロングの少女が前に出る。握りしめた両の拳に、見られない剣を持っていた。あれは剣に近いようなものだ。
「そんなわけにはいかないんだよな? 使えないならお前らを売り飛ばすだけだ。知っているか? 裏世界では奴隷人を売買しているってことを……」
「なあ、お前らうるせぇ―んだよ‼ 待ちの大通りまで聞こえてきたぞ、コラァ‼ もう少し、穏便に話せや!」
突然声をかけたハヤトに、全員の視線が集まる。二人は安心した様子で肩を落とし、男たちはハヤトを睨みつけながらこちらに迫ってくる。
「あ? どこの誰だか知らねぇーが、あんまり俺達の街で暴れない方がいいぜ」
「ああ、そうかい。貴様らみたいなクズに俺も付き合っている暇なんてねぇーからよ……」
「あ、あの……」
ハヤトは仲間の男の顔を右手の握力だけで握り、宙に浮かせる。そして、ハヤトはその男たちの仲間を素通りし、二人の前に立つ。
「お前ら、こんな奴らとつるんじゃあいけねぇーよ。だが、助けてやる代わりにしっかりと助けて金額分もらうからな……」
ハヤトがそう言うと少女がフッ、と笑う、そして、ハヤトの前に一歩出てきて見上げながら言った。
「お前に何ができるって言うねん‼」
「おい‼ 無視してんじゃねぇ‼ お前ら、やっちまえ!」
パンチパーマのリーダーの号令と共に男たちが剣を持ち、襲い掛かってくる。だが、それは一瞬にして、砕け散った。
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