第11話私は間違ってないはず

 中学生の頃に思い知ったのは、あまり目立ってはいけない。人と違うことはしない方がいいということだ。


 私は中一の時、少し調子に乗っていた。


 学校で誰もしていなかったことをしていた。


 中学校は今と違い、当然制服登校。校則も厳しかった。


 そんな中、私と、ずっと仲良しだった親友の美玖は、校則ギリギリを責めて楽しんでいた。


 スカートの丈もギリギリまで短く、髪色もギリギリまで茶色にし、ピアスの穴がバレないよう誤魔化していた。


 出る杭は打たれる。というけれど、それで目立ってしまうと、不愉快に思う連中が必ず現れる。


 調子に乗ってはいたが、決して他の女子に対して優越感などを感じていたわけではない。第一、皆多かれ少なかれ校則に反した格好をしていた。ただ私たちの場合、クラスの上位グループに目をつけられたのが運の尽きだった。


 最初は陰口から始まり、そのうち集団でシカト、挙げ句の果てには陰湿なイジメになった。


 廊下を歩けばコソコソと笑われ、机を離れればいつの間にかノートに落書きをされている。


 自分のこと可愛いとでも思ってんの?


 勘違いしてんなよ?


 マジで身の程を知りなよ。


 面と向かっては言わない、ねちっこい悪意。


 やがて美玖は学校に来なくなった。


 私には何の相談もなく。


 そして私は、ひとりぼっちになった。


 当然、見た目とかどうでもよくなった。


 集団から浮くようなことやったって、ロクなことがない。


 それを思い知ったのだ。




 音無さんと別れた後、帰宅した私は夕食と入浴を済ませ、ベッドで横になっていた。


 時計の針は九時を指している。


 私も音無さんと同じなんだ。


 なのになんでこんなにイライラするのだろう。


「若菜ーっ!大変だぜー!」


 ん?


 声に気づいて窓をみると、ゴンが凄い勢いで飛んでくるのが見えた。


「ぶべっ!」


 顔面から窓に突っ込んで、ゴンの表情が歪む。


 私は慌てて窓を開けた。


「ちょっと、何やってんのよ、ゴン!」


 人に見られたりしたら、大変なのに。


「真白と……水江が……」


「えっ?」


「ブラウンに……やられちまった!」

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