奇想天外なところから物語の幕はきって落とされる。
序盤にハチャメチャな感じの雰囲気を匂わせるが、主人公は、島で農業を営むという地味な生き方を選択 。
しかし、この物語の中では、農業が貴族しかできない高貴な遊びとなっている。そのため、我々がこの物語を読むときに、ある一つのことに気づかされる。
それは、現在の日本において農業が軽視されている現実である。
我々は普段何気なく野菜を摂取しているが、それはどこから来て手元に届けられているのかわからない。わからないものを食べる。それが今の日本人。
どこの国から来たか、わからない野菜を食べ続ける行為はいつまで続くのか。
もし、野菜を日本に提供してくれる国が、野菜の価値を高めたら、この物語のように貴族や金持ちしか手にすることができなくなる。我々日本人は飢餓の危機に直面するだろう。今ある日本の農業を大切にしていこうではないかと考えさせらる小説。
真面目な小説。