特別編 アレックスの一日

 ふああああ。


 良く寝た。


 首を動かして、欠伸をする。


 隣には御主人様こと、ユウヘイさんが寝ている。


 起こしちゃ悪いので、もう少しこのままでいようか。


 でも、自分はいつだって日が昇ると目が覚めちゃう。


 かれこれ、こうしてこの島に暮らして長いけど、こうやって誰か別の生き物と暮らすなんて想像してなかった。


 でも、最近は色々な人が増えて楽しい。


 先ずアリスさん。


 最初の一口は美味しい匂いがする人だ。


 でも、ユウヘイさんは吐き出さないと、ちょっと怒る。


 大事な大事な家族らしい。


 ……私にはちょっとうるさい人だ。


 だって、いつも食べ物を横取りしようとするし!


 そしてヘレンさん。


 あんまり美味しくはないけど、アリスさんと騒ぐので胃袋に入れた方が静かになる。


 そうして昼寝とか邪魔されるんだけど、こっちの話は分かってくれる。


 私にとってはとても大事な人。


「グル、グルルルル、ググル、グル?(ねえ、何であなた女の子なのにアレックスって名前なの?)」


「グルル……、グル(分からないけど、何か男だと思われてるのかも)」


「グ、グルル、グル?(それでいいの?)」


「グルルル(構わないよ)」


 私の言葉を理解してくれるので、お腹が減ったらヘレンさんに言えば良い。


 そしたら、ヘレンさんはよくトマトをくれる。


 とても美味しいからトマトは好き。


 でも、昼寝はもっと好き。


 だって、太陽が暖かいから。


 ユウヘイさんが起きると、家が騒がしくなる。


 アリスさん、ヘレンさん、あと最近来たメルナさんが騒ぎ出すのだ。


 でも、メルナさんはどっちかというととても大人しい人。


 私にもブラッシングしてくれたり、遊んでくれたりする。


 なんでも、ここに居る人とは違う人なんだという。


 よく分からないけど、確かに目が違うって見せて貰った。


 そしてお昼になったら、ユウヘイさんが私の背中に乗って釣りを始める。


 今日釣れたのはイカとカツオというものらしい。


「ほら、食べろー」


 ユウヘイさんはそうやって殆ど釣れた魚はくれる。


「お前はやっぱりかわいいなぁ、アレックス」


「グル♪(美味しい♪)」


 色々とくれるから、ユウヘイさんは好きだ。


「そうか、美味いか。お前はよく食べるなぁ」


 そう言って、また釣れた魚をくれる。


 自分で漁をするより楽でいい。


 そして昼寝。


 太陽が暖かいから、とても気持ちいい。


 お昼の時間は、皆さん大体寝ている。


 メルナさんは家の掃除を始めて忙しそうだけど、ユウヘイさんはハンモックというものを使って寝ている。


 すごい気持ちよさそうだけど、私が乗ったらダメなんだとか。


 私は人間と違って、どうやら重すぎるって言われた。


……ちょっと悲しい。


 夜になったら、夕飯の支度で家が騒がしくなる。


「それは私が作ろうと思ってたのよぉっ!」


 アリスさんが騒いでいる。


 メルナさんに何かを訴えているようだ。


 でも、アリスさんの食事は不味いから苦手。


 皆が夕飯を食べている間、私は外でメルナさんが持ってきてくれた食事を食べる。


 今日はジャガイモとサツマイモ、それと魚。


 美味しいから満足。


 そして、眠くなったら寝る。


 寝ようとウトウトしていたら、ユウヘイさんがやってきた。


「いやー、今日も一日お疲れ」


 そう言って顎を撫でてくれる。


 凄く気持ちがいいので、私はこれが大好き。


 そうして、眠りに落ちるユウヘイさんを見ながら私も寝る。


 途中、アリスさんとヘレンさんが騒がしく来たので、ユウヘイさんの為に食べる事にした。


 ちゃんと吐き出すから、大丈夫ですよ。


 それじゃ……、おやすみ。ユウヘイさん。

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