第162話 まあ、頑張りたまえよ?
「・・なるほど」
名前は、黒川真子(マリコ・クロカワ)。
加護は、農耕神。
最大攻撃技は、土魔法によって足場を乱してからの、
治癒魔法は中級だが、農耕神の加護により威力の増加を得られるため上位治癒術並の効果を得られる。
体術は苦手。
農耕神の加護により、魔力・体力が常時回復するため、長期戦、連戦は得意。
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「得意の武器は、魔光連砲?」
聞き慣れない武器だけど?
「前もって魔力を充填しておかないと駄目だけど、連続して魔法を放てる武器よ」
「・・・銃?」
うっそだろ・・あるのかよ!?
「魔力を込めて、魔法を撃ち出す筒・・かな」
握りとか引き金とかは無い。
「あっ、そう・・ふうん、魔力ねぇ」
魔力が要るんですか、そうですか。駄目じゃん、俺には使え無いじゃん!
「・・神具?」
「この世界に連れて来られた時・・一番最初に貰った武器よ」
「マジかぁ・・」
「剣とか上手く使え無くて・・こればっかり使っていたら神様が少し良くしてくれたの」
川原で、同級生に襲われた時に、剣や槍だと自衛できないと近接武器を諦めたらしい。
「あまり、運動神経が良くないもの。だから、これと・・楯」
方形の大楯を取り出して見せた。すっぽりと、小柄な
大楯で身を隠し、ラッパみたいな魔光連砲や土魔法で攻撃するというスタイルか。
「それ、蜂を落とせる?」
「うん・・ちゃんと当たればね。でも、即死はさせられない。地面に撃ち落としても動き回るの・・」
「・・なるほど」
「魔力の充填には1時間。連続して撃ち続けると20分ちょっとで空になります」
「ふむふむ・・」
ちょっと眼光が尖ってしまって、以前の明るさは影を潜めてしまったけど・・まだ気持ちは折れていない。何とかしたいという真っ直ぐな熱がある。これなら、鍛えれば伸びる。
「急がば回れ作戦だね。これは・・」
「
「俺は王様」
「・・はい、国王様」
「迷宮に籠もって、鼻息で蜂が殺せるようになって貰う」
「・・鼻息って・・私、強くなれる・・ます?」
「なれるよ。まあ、死ぬほど・・いや半分くらい死ぬ感じの訓練になるけど。何でもやるんでしょ?」
一歩どころか、半歩間違っても肉片になっちゃうから気を付けてね。
「・・はい! やります!」
「よろしい。多分、うちの生徒達と同じか、少し下くらいだから丁度良いよ。アルシェ、リリン、パエル、シフート、ファンティ・・そして、ええと名前は・・マリコ?」
「はい」
「じゃ、マリコと呼ぶよ。今日から、うちの近衛見習い達と一緒に迷宮漬けだ」
「はい!」
「アルシェ」
「はい」
花妖のアルシェ・ラーンが進み出た。
「無理に連携を意識しなくて良いから、今日から、このマリコを部隊に加えて訓練だ」
「はい、畏まりました」
優美に腰を折って一礼する。
「午前中は教練、午後は迷宮。これを毎日続けるよ」
「はいっ!」
リリン達が気合いの籠もった返事をする。
「ゲンザン、
「はっ!」
ゲンザン以下、
「当分は、ノルダヘイルに近付く、船、蜂、蛙、凶魔・・すべてを撃滅する。事前に連絡の無い総てが撃滅対象だ」
「仰せのままに」
ゲンザン達が力強く頷いた。
「チュレックの返答は?」
「問い合わせましたガーナル王国の一行ですが、母国へ送り返されたようです」
「なるほど・・」
俺でもそうする。もしくは、事故を装って海に沈める。
「あ、ガーナルからの船は連絡があっても沈めて良いから」
「承知!」
ゲンザン達がしっかりと頷いた。やる気満々だ。
「まだ・・人の国は無事なの・・ですか?」
「チュレックが無事なんだから、他にも無事な国はいっぱいあるでしょ。まあ・・・無事というのが、どういった状態か・・だけどね」
その辺りは、サクラ・モチが調べている最中だ。
俺は、カグヤに世界地図を作るように命じてある。地表だけでなく、地下、空中も含めた全世界を描き出す地図だ。そのために測量をさせている。
いや、世界征服とか狙って無いよ?
本当ですよ?
ただ、どこに何があるのか、どうなっているのかをビジュアルで把握しておきたかったんだ。頭の中で地形図を描くとか苦手なんです。カグヤなら、俺が期待する以上の物を創ってくれるという期待感がある。
「もう一つ、良いですか?」
「なに?」
「樹海の迷宮は8箇所、私達は総てを制覇しましたけど、ゆう・・国王様が仰る迷宮は、違う場所にあるんですよね?」
「うん。俺が育てている奴なんだ。うちの鍛錬場として育成しているから、結構なカオスだよ?」
1階から
まあ、いずれもカグヤが演算して迷宮に生み出させた偽物だけど、正直、本物と変わらない。いや、15分で再出現するので厄介さの度合いはこちらが上だろう。まだ、10階までしか育って無いんだけどね。野戦用の空間を作るために、各階層がとんでもなく広大なのが原因です。
「・・頑張ります」
「うん、頑張って蜂を鼻息で殺すようになりたまえ」
俺は偉そうにふんぞり返って言った。
「・・はい」
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