第88話 詐欺だろっ!


「いや、あれが龍とか詐欺だろ?」



 俺はぶすりと呟いた。



『おまえ、龍種に恨みでもあるのか?』



 龍帝が呆れた口調で言って、深々と嘆息を漏らした。



「恨みとか無いし・・龍帝さんには感謝してるけど・・なんか、出くわすんだよなぁ」



『普通、龍種に出くわしたら逃げるか死ぬかなのだがな』



「・・んなこと言われたってさ」



 こっちも死にたく無いんだから仕方無いじゃないか。



『長々と生きてきたが、わずかな間にこれほど龍種を仕留めた者はおらなんだぞ』



「・・なんか、ごめんよ」



『責めておるのでは無い。ただ・・呆れておるだけだ』



「ははは・・」



 俺は乾いた笑いを漏らした。



『精霊共の階梯が上がるようだが・・あやつらの申告を無視したのか?』



「ん?・・ああ、まとめて上げて貰おうかと思って、智精霊がまだでしょ?」



 あの精霊だけは、やたらと料金が高いので呼び難いのだ。



『ふむ・・確かに、今少しかかりそうだな。だが、ついでだ。他の精霊は階梯を上げておくぞ?』



「はい、お願いします」



『・・よし、これで精霊は第三階梯だ』



「ありがとうございます」



『それから、いつものクジ引きだな』



「はは・・」



 なんか、もう投げやりな感じがマキシマムですよ。まあ、これだけ度々あるとねぇ・・。



 俺は目の前に浮かび上がったカードの一枚を引いた。



『月兎の猿叫えんきょうだな』



「・・効果は?」



 兎の技っぽいのに、猿の叫びとは・・?



『使えば分かるだろう?』



 龍帝の回答がおざなり過ぎる。



「いや、教えてよ。前は色々説明してくれてたじゃん」



『いい加減、面倒なのだ』



 龍帝が投げやりに言い放った。



「ぅわぁ・・・言っちゃったよ。龍さん、それ言ったら駄目でしょう」



『知らん。面倒なものは面倒なのだ。だいたい、おまえがここに来過ぎるのがいかんのだ』



「・・そんな事言われたってさ。襲ってくる龍種が居るんだから仕方ないじゃん」



『とにかく、もっと遠慮しろっ!』



 龍帝が気味に吠えた。



「・・・すんません」



 怖いので、とりあえず謝っておいた。



(まあ、また龍種に出くわしたらたおしちゃうけどねぇ・・)



『む・・』



「え?」



『雷轟の階梯が上がるではないか・・』



「おぉっ!?」



『と言うことは・・やはりな、一角尖も練度を満たしておるぞ』



「よろしくお願いします」



『・・・仕方が無いな。神々との約定だからな・・』



 心の底から不本意そうに、龍帝がぼやいている。



「ありがとうございます! 感謝感激でっす!」



『よし・・これで、どちらも第二階梯になったぞ』



「やったぁ!」



『技の進化を選べるが・・選ぶか?』



「しんか・・もちろん、選びますよっ!」



 なに? まさか、しれっと流そうとかしてた? 大事な情報でしょ、それ?



『まず、雷轟だが、単純に威力と範囲を増すか、指向性を持たせて一点を狙い撃つか・・この二択だな』



「威力と範囲をしで」



 即答である。



『・・よかろう。一角尖は威力の増化か、発動時間の短縮か・・だな』



「威力を増し増しで」



 こちらも即答だ。



『よし・・それぞれ進化させておいたぞ』



「ありがとうございます! ところで・・」



『まだ何かあるのか? 身長云々は受け付けんぞ?』



「ぐっ・・い、いや・・ええと、そういうの・・技の進化とか、こう自分で識る方法って無いんですか? できたら、目視したいんですけど?」



『進化の先は決まっておらぬ。おまえの過ごし方で総てが変わる。よって、ることに意味は無いのだ』



「あぁ・・でも、せめて、練度の量というか、ポイントみたいな? 数字で把握したいんですけど?」



『無駄なことだ。練度の量もまた、固定されたものでは無い。おまえの心身の成長により、いかようにも変化をしていくものだ』



「はぁ・・まったく分かりませんが?」



『分かる必要は無い』



「ちっ・・・ケチ龍め」



 小声で毒づく。



『何か言ったか?』



「いいえっ、色々と階梯というのを上げてくれてありがとうございました! また、よろしくお願いしまっす!」



 俺は元気に明るく笑顔でお辞儀した。


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