Ⅰ 神と宇宙

Ⅰ 神と宇宙   

          

(1) 神と神性   


  ① 神


 『神との対話』では、神とは「存在のすべて」と表現されています。「存在のすべて」とは、旧約聖書(出エジプト記第3章)に「有りて有る者」と書かれてあるように、全ての存在の根源であり、かつ被造物をも包含した存在全てを意味しています。


 『神との対話』の著書では、「存在のすべて」を、次のような表現で説明しています。


『わたしは神である。わたしは至高の存在である。存在するすべてである。はじまりであり終わりである。アルファでありオメガである。わたしは太陽であり物質である。問いであり答えである。上昇であり下降である。左であり右、現在であり、過去、未来である。』


『わたしの世界は、絶対の世界であって、そこでは、ひとつのものが、他との関係によって存在しているのではなく、何ものからも、独立して存在している。』


『わたしには、あなたがたが理解できるかたちも姿もない。わたしは、どんなかたちや姿になることもできるが、(中略)わたしは偉大なる『見えざるもの』であって、ある瞬間のかたちや姿ではない。』


 創造主なる神を、被造物である人間の言葉で説明することは、自ずから限界があるといえます。時間・空間の中に生きる人間が、時間・空間をも創造された、すなわち時間・空間を超えた存在を、形容し表現する言葉そのものを、持ち合わせていないからです。



 ② 神性


 神性とは、神の属性(側面)をいいます。


 神には、非常に複雑で、無数の層、感覚、面があります。例えば、冒涜的な面と深い面、小さな面と大きな面、うつろな面と神聖の面、おぞましい面と神々しい面など、ありとあらゆる性質を内包しているのです。


(2) 神の宇宙創造


 ① 創造目的と宇宙創造


 神の宇宙創造は、すべての根源である神が、自らの性質(神性)を体験するために、自分の姿に似せて宇宙を創造しました。


 「存在のすべて」である神は、絶対の存在(他者に依存しない存在)であるため、概念としての知識はありましたが、体験としての知識はなかったのです。そこで、相対的な世界、すなわち宇宙を創造し、体験的に、あるいは実感的に、自らの神性を知ろうとしたのです。


 絶対的世界は、他者に依存しない、存在そのものであるため、自らの神性を体験的に知るには、相対的世界に入らなければならないのです。


 例えば、容姿など自分自身について全く情報を持たない人間が、光や音など五感で感じるものが何もない部屋の中にいるとします。そこでは自分について知る方法が、何もありません。


 そこに1点の灯りが出現したとします。すると、自分と灯りとの距離、灯りの大きさなどの相対関係から、自分の位置や大きさなどを知ることができます。さらに灯りが明るくなって自分の姿が映し出されれば、自分の容姿も見えてきます。


 このように相対的世界では、他者との相対的関係をもつことによって、自分自身を知ることができるのです。


 宇宙は、物質的世界と、霊的世界からなっています。


 霊的世界では、思いとその実現とに時間差が無く、思いが即実現します。


 物質的世界でしか、神性を体験的に知ることはできません。


 要約すれば、神の宇宙創造は、無形の神すなわち「存在のすべて」の神が、無数にある神性を表現して有形的な宇宙を創造し、まさに自分自身を鏡に映すようにして、自分を体験するために行なわれたのです。


 それは、画家が自らの脳裏に浮かんだ無形のイメージを、キャンパスに描いて表現(有形化)し、それを客観視することにより、喜びを実感することと似ているといえるでしょう。



 ② 魂の創造


 神は、神ご自身の性質と能力を分与した魂を創造されました。それは、神の分身(分霊)といえます。魂は、宇宙創造の時に、決められた数だけ創造されています。


 神の分身である魂が、物質的世界の人間に宿ることにより、いろいろな体験をします。


 人間は、魂-精神-身体という3層になっています。


 魂自身が自らを体験的に知ることによって、神ご自身も自らを体験的に知ることができるのです。


 いいかえれば、魂の目的は、神から分与された概念としての知識を、人間の精神-身体による活動、すなわち人生において実体験し、体験としての知識を体得することです。


 魂が実体験するときに、神ご自身も無形なる絶対的な自分自身(神性)を、有形的に実体験しているのです。


 神の分霊である魂の目標は、母体である神の無形なる神性を実体験して成長、完成し、神に帰一することなのです。


 このように神ご自身も、自身の分身たる魂とともに共同して、無限に成長・変化し続けるのです。



 ③ 人間の創造と人間の構成要素


 人間は、魂の乗り物として、創造されました。したがって、人間は、魂-精神-身体からなっています。


 魂は、神の分霊として個別性をもちながらも、全てがつながっています。それを家の中の空気に例えて説明しています。


 空気はすべてつながっているものですが、家の中では、各部屋ごとの独特の空気、例えば、台所なら食物の香りがする、リビングルームはそれ特有の雰囲気があるというように、個と全体がつながっています。しかも、屋外の空気ともがつながっています。


 魂もそれと似ています。人間一人ひとりの魂の個別性はありますが、それらは決して別々に分離しているのではなく、つながっているのです。


 さらに神と魂の関係を、大洋と波を例えにして、説明しています。


┌----------

 大洋がなければ、波は波として存在する力をもたない。


 小さくても大きくても波は波だ。


 波のひとつひとつは違っていても、どの波も、大洋そのものと分離してはいない。


 波は浜辺に打ち寄せるが、存在しなくなるわけではない。かたちを変えて、また大洋に戻っていく。


 波の存在は、大洋の存在の証だ。


 あなたの存在は、神の存在の証だ。


 《神へ帰るP130》(一部略)

└----------


 大洋と波はつながっています。その成分組成も同じです。波は大洋の一部なのです。


 波にも、大きな波、小さな波など千差万別の波がありますが、それは大洋の様々な性質の表れです。


 そして波は浜辺に打ち寄せるが、存在しなくなるわけではありません。かたちを変えて、また大洋に戻っていくのです。


 大洋と波の関係と同じように、魂は神の分霊で、神と魂はつながっているのです。


 それがもし実感できれば、他者を無視した独善的な考えや行動は、他者だけでなく、自分をも害しているといえるのです。他者のために与えることは、自分に与えることになるのです。



 ④ 地球外生命体


 『神との対話』には、地球外生命体について次のように書かれています。


┏━━━━━━━


 べつのところにも生命体がある。この巨大な宇宙にいるのがあなたがただけだと、ほんとうに思うか?


 地球外の生物が助けてくれている。彼らはあなたがたのなかに、おおぜいいる。何年もあなたがたを助けている。


 他のほとんどの文明があなたがたよりも進んでいる。


 すべてのひととすべてを分け合う。


 所有という言葉や概念はない。


 人類よりもずっと長生きする。


 子供が子供を育てたりはしない。


 罪悪感や恥を感じない。


 競争しない。ひとりが失えば、全員が失うことを知っている。


 さまざまな生物がいる。地球上と同じだ。それどころか、もっと多様な生物がいる。


 何が「ためになるか」という考え方がまるでちがう。


 「もたざる者」はいない。あなたがたの社会のように、おおぜいのひとがみじめなどん底で暮らすこともない。


 集落で暮らしている。あなたがたの世界でいえばコミュニティだが、「都市」とか「国家」という考え方はもうやめてしまった。


 衣服を着る必要を感じない。高度に進化した文明は環境を創造し、コントロールし、行き届いた管理をしている。


 テレパシーでコミュニケーションする。


 学校制度はない。


 高度に進化した存在が対立要素を探そうとするとき、目を向ける場所のひとつが地球なのだ。


┗━━━━━━━


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