3-2 人生を繰りかえす
よむ子:ニールさんは648回目の人生……。人生を何度もやり直して、成長していくんだ。
A:彼は、過去647回の人生で、王、女王、農奴。教師、生徒、主人。男性、女性。戦士、平和主義者。英雄、臆病者。殺人者、救済者。賢者、愚者など、王様から奴隷まで、すべてを体験しているといっている。
いろんな立場の人生を体験して、多くの神性を体験しているんだよ。
よむ子:みんながそうなのね。
A:そう。みんなが色々な立場を経験して、成長していくんだ。
よむ子:死はその通過点……。
A:死という通過点を通って、現実世界(現世)から霊的世界に行く。そしてまた現世に生まれて戻ってくる。それを繰り返す。神性を完璧に体験するまではね。
だから、死を恐れることはないというんだよ。消えて無くなるわけじゃないからね。
よむ子:そう考えられたら恐くはないわ。
A:それに何度でも人生をやり直せるって、すごい福音だよ。
君はまだ若いからそんなことないだろうが、おじさんほどの年になると、「人生もう1度やり直せたらなあ」と思うことは、しばしばあるんだよ。
よむ子:そんなものなの……。
A:年を取ればおいおい分かるよ。
何度でも人生をやり直せるなら、「自分の人生は失敗だった」と、嘆き悲しむことはないんだ。
人生の失敗をしっかり反省し、ちゃんとやり直せばいいんだとなれば、どれほど希望がわくことかな。
これは悩んでいる人たちみんなに伝えたい真理だよ。
よむ子:神は愛なりね。
A:ほんとにそうだね。
よむ子:なぜ人生は、1度ですませられないのかなあ?
A:ホホウ、いいところに気付いたね。
じゃあ、1度の人生に1000年生きるとして考えてみようか。
よむ子:1000年……。
A:自然や社会環境などは変わるとしても、よむ子さんの個性や能力は同じだとしたら、どうかな。
よむ子:うーん、どうだろう。わたしあまり器用じゃないから、飽きちゃうかも。
A:(笑)。飽きちゃうって、おもしろい表現だね。
1000年の間、顔立ち、スタイル、性格が変わらなかったら、やることがマンネリになって、確かに飽きちゃうし、いやになっちゃうかも知れないね。
よむ子:フフフ。
A:だけどその間に、無数の神性を体験しなければならないとしたら……。
よむ子:無数の神性を体験……。いろんな人生を生きて、いっぱい体験するわ。
A:それ、答えをいってるんじゃない?
よむ子:えっ……。
A:人生を繰り返すとは、まさにそのことだよ。
よむ子:そうか、1度の人生の体験には限度があるということか。
A:同一の人間だとしたら、1度の人生で体験できることには限度があるね。
だから、現世に戻って人生をやり直すときには、前と違った人間に宿るんだ。そして違う人生を歩み、違う体験をする。
よむ子:それなら、いろんな体験ができるわね。
A:そう。しかも新しい人生にするためには、現世に生まれてくる時、それまで生きた人生の記憶は、全て忘れる必要があるんだ。
よむ子:どうして?
A:前に画家の話をしただろ。
よむ子:画家はなぜ絵を描くか。
A:そう。
キャンバスに以前に描いた絵が残っていたら、新しい絵は描けるかな?
よむ子:無理じゃない。
A:修正ていどならできるけど、新しい作品を描くことはまず無理だろうね。
よむ子:そうか、新しい人生には、キャンバスを新しくしないとダメなんだ。
A:そのとおり。真っさらなキャンバスに、新しい絵を描くんだよ。
『神との対話』には、現世に生まれてくる時、それまで生きた人生の記憶は、全て忘れるようになっていると書いてあるんだ。
時に、それをおぼえていることもある。特に幼児の時にね。それが、バージニア大学のタッカー博士が研究している「前世の話をする子供」なんだよ。
〈つづく〉
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