1章 始まり? 嫌われてしまったようです
1章1話 魔物? 仲間がワンパンです
「おーい、目を覚ませ。いつまで寝ている」
そんな荒い言葉とそれに見合った雑な揺らし方で俺の意識が覚醒し始める。開いてすぐに映ったのは美しいショートカットの女性だ。
小さなと言うよりもお姉ちゃん、いや姉御と言うべきなのかもしれない。身長も百七十ほどか。俺よりも少し低い。吊目だがそこに可愛らしさもあるな。
「あっ……あんまり見つめるな。照れるじゃねえか」
「あっ、ごめん。……それで君が俺の仲間?」
女性は胸を張り「そうだぜ」と答えた。
身長の割には胸が小さいな。いや絶壁だ。ツンとかもなくてステーンって感じだ。
「オレはな、ミカエルっていうんだ。今は服の中に羽を隠しているから見れねえが孔雀のような羽があるんだぜ。そして悪魔とか魔物に対して強い力を発揮できる」
「公正さを象徴するからでしょ。にしても聖書とかにあるまんまなんだね。違うところはすっごく可愛いところか」
手で顔を押さえ「そんなこと……ない」と顔を赤くするのは反則だと思う。普通に可愛い。
ってかなんでこんなに高レベルの、上位の天使を送ってきたんだ。普通のイメージ通りの天使が来ると思ってたんだけど。
「武器はあるの? 俺ないんだよね」
「アテネから渡されている。初期武器だからレベル上げしてからすぐに買おう」
そう言って渡されたのは鉄の剣だ。
なるほど、青銅とか来るかと思っていたが最弱武器は鉄か。銅もすっ飛ばされている。
「日本では青銅が最初の金属だよな。作り方はここにもあるけど鉄よりも脆いらしいんだよな。ってかあのアフロ、インプットに抜けがあるじゃねえか」
「銅は硬貨かな。……まずはどうしようか」
それを聞いた瞬間にミカエルが俺の手を取り上に上げてくる。女性と付き合ったことはあるが、ここまで高レベルの人とは付き合ったことがないから心臓のドキドキが半端じゃない。
「レベル上げだ! オレが手伝ってやる!」
「……じゃあパーティを組まないとね。パーティを組めばミカエルが倒してもポイントが手に入るし」
ステータスの再確認したらポイントがゼロになっていた。それは常識と一緒にインプットされていたが、ステータスが上がりやすいようにしたみたいだ。
つまりはレベル上昇でステータスの上昇を高くする、才能みたいなものか。それは魔眼や神様でしか見れないらしいし弄れないらしい。
「硬い呼び方だな。ミカでいいぞ」
「じゃあ俺は……リュウでいい。俺の好きな小説家だ」
息子でもできればオサムと名付けよう。
そんな馬鹿なことを考えながらミカから剣を受け取る。鉄の剣を握ってみたがそこまでの重さはない。
振れば少し肩が痛くなるな。それはそういうことに慣れていないからか。
「じゃあ行くぞ! 主に付いていくから任せておけ!」
森の中で大声出されるのはキツい。魔物とかいう敵が集まってくるかもしれないからな。
だが大天使なんだ、腕には自信があるんだろう。そんな鷹をくくってミカの前を歩いた。
それから数分後のことだった。
何故か俺は魔物の死体を担いでいた。それも数体じゃなくて数十体。上がったステータスのおかげで何とかなっているが前の状態なら絶対に無理だ。
ゴブリンとかコボルトとか猪とかいろんな魔物が出てきても、ミカが剣をひと振りすれば死んでしまっている。先の大声のせいで魔物が集まってきてるし結構酷かった。
戦おうとした俺の心に傷が入るくらいに。
本当に勘弁して欲しい。俺も戦ってみないといけないのに。
「ポイントは……貯まってる!」
ポイント売買をタップする。
ポイント売買は簡単に言えばいろんなものを買えるインターネットショップみたいなものだ。武器もスキルも買える。
そこで欲しいスキルの情報を入れてポイント全てを使って一つのスキルを買った。初回戦闘生存とかで五万くらいポイント貰ったけど全部消えた。だがこれにはそれだけの価値がある。
レベルは1だが大丈夫だろう。
そう思い遺体に手を置いて収納と考えてみた。成功だ、全てそこから消え出し入れもできるみたいだ。
「おっ、空間魔法かい? 人族には珍しい魔法を手に入れたね」
「これで俺も戦えるかな。行くぞ。ウオォォォ!」
ゴブリンに俺は向かっていった。
そして鉄の剣を振り下ろす。そのままゴブリンの体は真っ二つになり息絶えてしまう。
あれ? 戦闘ってこんなもんだったっけ?
そう思いステータスを開いてみた。
名前 未定
年齢 17
ジョブ
レベル 3
攻撃 75
防御 75
魔力 75
精神 75
幸運 150
固有スキル
魔眼1(麻痺、鑑定)ポイント1、ポイント売買1、ポイント増加1
スキル
魔法
空間1(異次元倉庫)
ポイント 10
「おっ、冒険者ランクE位はあるな。それに上がらないはずの幸運も上がっているし面白い奴だな」
……そりゃそうですよね。ゴブリンなんて冒険者最低ランクのFが戦う存在。俺なら楽に倒せますよね。
ブルーな気分のままで街まで向かう最中に魔物を倒し続けた。
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