ポイント制は最強ですか?
張田ハリル@伏線を撒きたいだけのオッサン
序章
神様と聞くとどのような姿を思い浮かべるだろうか。少なくとも俺は神々しい白い羽衣を纏った女性、もしくは老人を想像していた。そう、していたのだ。
でも実際は違う。
「だーかーらー、主は死んだのじゃ」
裸のロリ少女。
露出とか俺の変態パラメータの振り針を下へと、いや一回転させるくらいに理解できない。
「裸とは失礼な。最近はこれくらいでないと話も聞いてくれないのじゃ。本当に世知辛い世界になったのじゃ……」
小さな胸を揺らしても俺の心は揺れない。
おっと今の言葉で睨まれてしまった。心が読まれているのを理解しておかないとな。
「それで死んだとは?」
「簡単な話じゃ。妾の悪戯で降った隕石に巻き込まれてクレーターとなった場所に主がいのじゃ。つまりは隕石にかき消されたのじゃな」
笑っているがそれは常識的に考えて俺悪くないよな。確かに俺の命は軽いかもしれないが。
「それはないのじゃ。命に重いも軽いもないのじゃ。だから主をここに呼んだのじゃよ」
それなら余計に意味がわからない。悪戯で俺は死んだというのに重いも軽いもないのか。ってことはあれかな。
「もしかして生き返らせてもらえるんですか? それなら元の世界は嫌ですけど」
「もちろんじゃよ。地球は望む者が多いからの。例え妾でも横入りは無理じゃ。だから好きなものを三つ与えて、主の好きであった異世界に飛ばそうと思うのじゃ」
異世界、と聞いた瞬間に俺の心がドクンと跳ね上がる。行ってみたかった、だけど現実的には無理だと諦めてた場所だ。
「ちなみに……俺の家族は?」
「妹は泣いておるみたいじゃが両親は死んでせいせいしているみたいじゃよ。そのうち罰は与えるから安心するのじゃ」
俺の過去を知っているのかわからないが、あいつらに災難が降るなら別にいい。いろんな証拠が無駄になったな。両親だけは許せなかったからそれでいい。
あれ? よく考えれば隕石ってことは一瞬で死んだんだよな。なんで俺の死がわかっているんだ?
「それは妾のテレパシーじゃ。妹は従順じゃな。そのうち願いを叶えないといけないくらい、とてもいい子なのじゃ」
「そっか。……ありがとうな。それで欲しいものか……」
欲しいものと聞かれれば確実に困るな。スキルやステータスは必要だろうし。
うん? ステータス制かスキル制なのかも聞いていないな。
「スキル制じゃよ。だから誰もステータスの存在を知らないのじゃ」
「なら、ポイント制度が欲しい。俺の望んだものを……って考えが読めるのなら分かるだろ?」
「おおう、難しそうじゃができるのじゃ。それと後二つはなんじゃ?」
「仲間が欲しい。絶対に裏切らない仲間が。それと全てを理解できる魔眼。できれば麻痺させられるみたいな付属の力があればいいけど」
ロリ神が悩む。
よくよく見れば綺麗な顔してるんだな。まあ、妹の方が可愛いが。
「このシスコンなのじゃ。その三つなら何とかするのじゃ。まずはポイント制じゃな?」
俺の体が光り収束していく。
そして目の前にパソコンの画面のような何かがいきなり浮かんできた。内心驚きはしたが隠せているはずだ。
「心が読めるのになぜ分からないと思ったのじゃ?」
そうでしたね。確かに忘れてましたよ。
名前 未定
年齢 17
ジョブ
攻撃 10
防御 10
魔力 10
精神 10
幸運 100(干渉済み)
固有スキル
魔眼1(麻痺、鑑定)ポイント1、ポイント売買1、ポイント増加1
スキル
ポイント 2000
多分、低いんだろうな。明らかに10ってクソ雑魚じゃないですか。
「もっと酷かったのじゃよ。幸運に至ってはゼロじゃった。本当に酷い生活じゃったのじゃろうな」
「……うっせえよ。ってことはポイントもサービスなんだろうな。それで異世界の情報と仲間は?」
「主の心を読んだのじゃが聖女は嫌じゃろうからな。天使の一人を使わせるのじゃ。異世界の名前はマース。簡単な情報は脳内にインプットしておくのじゃ」
神様っていうからには意地汚いのかと思っていたが良い奴だな。……神頼みしても助けてくれなかったのに。
いいや。こういう奴もいるんだ。異世界では幸せになれるはず。そのためのポイントだ。
「最後に妾の加護を渡すのじゃ。女神アフロディーテの加護。そしてアテナの加護じゃ」
「……愛の神と戦闘の神か。感謝する。本当にありがとう」
「アテナが加護を渡すのは珍しいのじゃ。まあステータスがないのじゃからバレにくいとは思うのじゃ。ただ聖女にはバレるかもしれないから気をつけるのじゃ」
そっか、聖女には気をつける、と。
おっし脳内メモリーに書き込んだぞ。
「何から何までありがとうな。また会う時には成長していることを願うよ」
その胸が、な。
「最低なのじゃ! 神は歳を食っても成長しないのじゃ! 妾はもう七せ」
アフロディーテの話の途中で体がまた光り出す。そしてすぐに俺の意識は潰えた。
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