第2話 世間の物差し

僕は母親の愛情を知らない。

名前を呼ばれたこともない。


僕は人は生まれたら無条件に

親にだけは愛されると思っていた。

けれどそれはただの幻想に過ぎなかったのだ。


みんな大きくなったら


“普通”に働いて

“普通”に結婚して

“普通”に死んでいくんだと言う。


でもこの普通って何ですか。


親に愛されていなかったら

僕は普通ではないのだろうか。


他の子より成績が悪かったら

他の子よりかわいくなかったら

自分の意見を相手に伝えたら


僕はその“普通”から外れていると思われて

笑って生きることも許されないのだろうか。


じゃあその“普通”って誰が決めたのですか。


個人の感覚の問題に過ぎないんじゃないですか?


君たちの物差しで

勝手に僕を計らないでください。

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