君と僕との境界線。
左京 綾斗
第1話 君と僕は交わらない
僕は君になりたかった。
そして君は僕になりたかった。
運命というものは残酷だ。
この世界には望まれて生まれてこれている子供が
何人いるのだろうか。
心から愛されている人間が
何人いるのだろう。
親の勝手なエゴで
操り人形のようになってしまっているのに
何も言えない人間が何人いるのだろうか。
きっとその答えは僕にはわかるはずもない。
けれど少なくとも僕は
望まれていた子にはなれなかった。
そして君はたくさん愛されていた。
けれど親が見ているのは君ではなく
君の成績、素行の良さ。
生まれてきた命すべてが愛されることは
無理なのだろうか。
その答えをどうかこの僕に
そして僕の愛する君に教えてはくれないだろうか。
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