『さいわいなことり』 青い向日葵様

https://kakuyomu.jp/works/1177354054886874942


今回はこちらの1話完結の短編をご紹介します。

作者様が、夢月七海様の自主企画『同題異話・九月号』のために書き上げた作品です。

同じタイトルで、複数の方がそれぞれ素敵な作品を投稿しています。


可愛らしい賢い小鳥と心通わす作者様。

ですが、その小鳥の命はほんの小さな事故で失われます。

その事故の瞬間の作者様の‘1秒の葛藤’にすべてが詰め込まれています。


その小鳥を助ける方法がなかった訳ではない。

でも、それは人間としてやってはいけない事だった。


「正しい判断」をしても尚残る悔恨。

泣き喚きながら家中の障子を破ってまき散らしたという作者様。


私も職業柄、「動物を飼う事の意味」は常に考えています。


ほんの小さな事故や不注意で命を落とす小鳥をたくさん見てきました。

その時に家族が負う心の傷は、生易しいものではありません。


それでも、私は考えます。

動物達がその死をもって私達人間に与える悲しみや悔恨、葛藤。

それらは無駄な苦しみなのでしょうか?

それこそが、動物達が私達に最期に与えるギフトではないかと。

その苦しみこそ「命への敬意」ではないのだろうかと。


動物が自らの死をもって、人間に与える何かをこの作品は教えています。


作者様と共に暮らした小鳥「クロ」が幸せだったかどうか?

それがこの作品の最後の問いです。


その答えは永久に失われたのかもしれません。

ただ、「クロ」という小鳥がいて、作者様と心通わせ、たくさんの想いを作者様の胸に残して、旅立っていった事だけは、まぎれもない事実だと思います。

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カクヨム読書感想文 ひよく @hiyokuhiyoku

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