とあるアップローダーにうpされた、.txt 2
親しい人や家族から殺してと言われることは恐らく自分が死にたいと思う以上に辛いと思います。
当の本人が言うのだからそうだろう。
少なくとも僕はそうでした。
この頃から、僕の家族はどんどん壊れていきました。
定年を迎えた父は妹そのものを見るのが辛いらしく、介護は一切行わず、家にさえいる時間が減っていきました。
それと反比例して妹にのめり込む様に介護をしたのは母。
母は、家事を放り出して妹の世話をしていました。
妹は傷や傷跡が治っていくのと真逆に表情は固く、辛そうでした。
僕は軽自動車で妹から告白されて以来、仕事が手につかなくなりました。
妹が事故にあってからもだったけど、仕事では更にミスや遅刻、勝手に取る有給休暇が増えました。
外資系の企業でドライなところでしたが、一度上司に呼び出され、今のままでは君を雇い続けられないと最終宣告を受けました。
改善できる気持ちもやる気も持っていなかったので、その場で退職届を書きました。
客観的に見て当然だと思ったし、後悔もしていません。
仕事の内容から仕事さえ貰えれば独立してもやっていける自身があったので、それほど先のことは考えず退職しました。
それまでは輝ける外資系の会社のエリートでしたが、無職では賃貸のマンション暮らしも維持できず、荒れた実家に帰ることになりました。
僕自身も精神状態はフラフラで心療内科に通いだしたのもこのころからです。
帰った実家は、もっと地獄でした。家の荒れ方はどんどんひどくなっていたからです。
実家に荷物を持ち込んだときに最初に思ったのは、妹には悪いけど、頑張って働き続ければよかったということ。
庭木は伸び放題で、雑草が人の背丈ほども伸びていました。網戸も障子も破れ、人があまり訪れない部屋は雪のようにホコリが積もっていました。
僕に言わせると父親が一番逃げていました。
毎日、白米だけ炊き惣菜店のおかずを取ると、そのまま、毎日自分の好きな史跡めぐり。
家に居たくないらしい。というより、妹を見たくない。
母親は、半身不随の妹の世話にかかりっぱなしで、まるで、家事をしないことへの懺悔のように妹への世話をしていました。
結局、私が掃除洗濯買い物と家事全般をすることになりました。
そのころだったと思います。
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