chapter:1 start the end

私は黒峰 朱里くろみね あかり

部活は陸上と空手部を掛け持っている、ただの普通の女子高生だ。

見た目はまあ、男子から見れば可愛く見えるらしいけど、私はそうは思わない。

ただのチビ。

親友の美駒音みこねにも言われたんだ。

間違いない。

私のクラスの男子は全員ただのロリコンだ。

ちなみにこれ、パルクールは趣味でやっている。

パルクールは移動手段にとてもいい。

なぜなら、これで移動すると不審者に襲われずに済むからだ。

万が一、不審者と会っても、その不審者の上を飛び越えればいい。

一方、美駒音や、もう二、三人の親友―と目立たない人―を除く女子達は、そんな私の事を良くは思ってはいないみたいだ。


そんな日の午後の事だった。

帰りに学校の玄関に行くと、何やら私の靴がある場所に蟻が行列を作っているのが見えた。

私はそれを見て、靴を取り出した。

靴の中身は真っ黒な生き物に占領されていた。

蟻だ。

私がそれを振り払うと、中からカブトムシの死骸が出てきて、床に落ちた蟻がそのカブトムシを覆った。

私はそれを見て、その靴をゴミ箱へと投げ捨てた。

私はこれが一回きりで終わる事を願った。

だがやはりそうも行かず、それは毎日繰り返されて行った。

ある日私は、一体誰がこんなことをしているのか、様子を見ることにした。

帰りのピークの十数分前、私は靴箱近くの影に隠れ、その周りを観察した。

すると二分も立たない内に、そいつは姿を現した。

そいつは同じクラスのギャルだった。

彼女は右手で私の靴を掴むと、左手でポケットから、大きめの虫の死骸を取り出した。

「ちょっと!」

私は叫んだ。

彼女は私を見て舌打ちをすると、私に近づいて、手を伸ばしてきた、

私は身の危険を感じ、蹴りを繰り出した。

だがその蹴りはあっけなく止められ、私は動きを封じられた。

床に、手で足を押さえられ、足で腹を抑え付けられたのだ。

「お前はなあ……。」

彼女は言うと、ポケットからそれを取り出した。

毛虫だ。

そして彼女は、それを私の口に押し付けてきた。

「これでも食ってろ!」

彼女は言って片手で顎を開け、抵抗し続ける私の喉に無理やり押し込んだ。

何か、チクチクとした嫌な感触が喉元を通り抜ける。


そして。

……私の脳内は、絶望に染まった。

しかしそれも無理はないだろう。

今までに食べたことが無いもの――虫。

それも毛虫を、己の体に取り込んでしまったからだ。

しかもそれは生きていたらしく、喉の奥でぐにょぐにょと蠢いた。


翌日。

私は絶望の表情を浮かべながら、学校へ来た。

何時間か遅れて。

ああ。

私はまた、あんな目に遭うのだろうな。

そう考えながら教室の扉を開けた――。


だがそこにはクラスメイトは居ず。

私はふらふらとその中に入った。

「……ひぃっ!」

それを見て、私は恐怖にかられ、後ろへ数歩引き下がった。

なぜならそこには――。

「な、なんなの、これ……。」

一人の男子生徒が、首筋から大量の血液を垂れ流して、仰向けに息絶えていたからだ。

そして私が、それに近付いたその瞬間。


――バタンッ!!!


教室の扉は閉鎖され――。


――ガチャリ。


――鍵が掛けられた。

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Z easy 柊木緋楽 @motobakaahomaker

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