第13話 隕石
どかああん
文字に表すとこんな感じ。でも、音は爆弾のそれをはるかに上回る。
その時ちょうど、砂漠の真ん中の大きな建物に空から飛来物が落下している所であった。
瞬間、周囲の明かりが消え、スクリーンの電源が切れた。
よしきは手を耳に当てて語りかける。
「どうしたミズノ。電源が落ちたぞ?」
——敵、接近中です——
そう言われてよしきが前を振り返ったその時、薄暗かった室内の前方斜め上から建物をぶち壊しながら巨大な岩が入ってきた。
あまりの衝撃に皆が固まる。
そして死んだものだと直感した。
しかし、岩は止まらない。そのまま受講生達の頭の上に落ちようとする。
が、よしきが強烈な脚力で飛び跳ね、岩を建物の外に押しやった。
「大丈夫か!」
確認をするも返事を待つ前に、天井が崩れ始めた。
よしきは床に着地すると強く足元を蹴る。
「ブラックアート」
大量の黒い岩がたちまちに上り詰め崩れる天井を持ち上げた。
しかし、大樹ほどのその黒い岩も、あまりにも広い室内で、守護が追いつかない。
室内の窓際と二回眺望席の状態をすかさず観察すると、よしきは舌打ちをした。
「ちぃ、仕方ないな。ミズノ! 建物の強度はどのくらいだ!」
——大学なのでかなり頑丈かと思われます——
「おい、数値で言ってくれ! 伝わらん!」
——わたし建築知らないです——
「わかった、じゃあ今から俺のやることの被害を最小限にしろ!」
すると、よしきは落下する天井の瓦礫に両手を向けた。
「二つの自律神経(ダブルオートノミック)・Xバースト! 最大火力!」
彼の両手から白と黒のエネルギーが轟音をかき立てながら天井に向けて大きく解き放たれる。
そのエネルギーは瓦礫を吹き飛ばした。しかし、同時に火力が上がり、とどまるところを知らない。
ミズノが冷静に、
——そのままでは室内が焼け焦げるほどの火力なります。今すぐ中止してください——
「わかってる! だから最小限にしろと言っているんだ! 急には止められん!」
彼は両手のエネルギーを握りつぶしながら。
「状況は?」
——襲撃されています。敵は大学から離れているのですが、どうやらそれが陽動だったようで。頭上の隕石に気がつきませんでした——
「らしくないな。手のエネルギーは10秒も我慢ならん! 隕石はあと何個だ?」
——あと10個です——
それを聞くと彼は鼻をこすって、
「連れて行け、一番でかい隕石の前に」
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