第5話 物語に介入されています。直ちに対処してくだだだだだだだ。もう、しーらない。

 次の瞬間には、大きな丸い机のある会議室に現れ

「もしも〜し、起きてくださ〜い」

「あ、ああ? 一体誰……」

● はぁ? そんなセリフはないはず。

● しかも、会議室からの声じゃない……ありえないイレギュラーだ。

● 一体どこから?

「起きなさいよ、もしも〜し。太一く〜ん?」

「え? あ、あなた誰ですか?」

「初めまして、私はマナって言います」

● あの女め、太一のところか。今すぐ行ってやるからな、待ってろよ。

● シーン移動だ。

『オペレーション不可能。この操作はできません』

● わっつ?

● 一体なんで? 太一の部屋に行くだけだろ!

『この操作はできません、不可能です!』

● そんなわけあるか!

「太一くん? 君はなんでこんなところで寝ているのかな?」

「それが、急に部屋が揺れて、頭の上から荷物が降ってきて、ぶつかったんです頭に」

「痛かってでしょ〜、うふふ。でも安心して、私が来たからには痛いの痛いの飛んでいけ〜」

● あのアホ、何たぶらかしとるんじゃ。

● 仕方ない、手動でシーン移動を

『その操作は不可能です』

● こらああああ! バンバンバン!

『叩かないでください』

「へ〜、キシヨくんて友達がいるんだ〜」

「ああ、もう死んじゃったんですけどね」

「え? 多分生きてるわよその子?」

「どういうことですか?」

● いい加減にしろよ、太一は詠嘆のエクレツェアを継ぐ男だ!

● そんないらん情報を流すんじゃない!

「太一くんさ〜、語り部に騙されてるんじゃない?」

「語り部?」

「あれ、知らないの? たまに耳に聞こえているあの声の主のことよ」

● さっさと移動しろこのバカ!

『操作は不可能です!』

● 描写くらいさせろい!

「キシヨくんは生きてるんだよ」

「それは本当ですか!?」

「だってここはなんでもありのエクレツェアだよ? もし疑うなら君を騙している張本人に来てみればいいじゃない」

「張本人って一体誰のことを……?」

「決まってるでしょ、詠嘆のエクレツェアよ。君をキシヨくんと入れ替えていたのも、そうれをそのまま思い込ませていたのも、全部詠嘆のエクレツェアのやったことでしょう? それはつまり、黒幕ってことよ」

 チーン。はい、言っちまった〜。キシヨくんは俺ですからね、そりゃ生きてますよ、当たり前じゃんか。

 だからってバラす必要ないじゃんかね。そんなこと言ったらどうなるか。

「おれ、ちょっとよしきに聞いてきます!」

「いってらっしゃ〜い」

 ほらそうなった。もうし〜らない。

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