第12話 または263-1
世界を渡るうちにふと、もしかしたら理由のある移動なんじゃないかって考えたことがある。
色々な文化にふれ色々な人たちに会う。
凄惨な世界もあれば、文字通り何もない世界もあった。
異邦人に対して、ひどい扱いをする世界もあれば裏があるんじゃないかってくらいの優しさを見せる世界もあった。
私はみんなヒトとしてみてきたけど、いろんなヒトがいた。
もしかしたらこれは、色々な経験をさせるために渡らせてるんじゃないかって。
あるいは、それらを見せるためなんじゃないかって。
私が越えた世界は、私自身じゃあもう。
数えることをやめてから久しい。
だけれども。
数多の世界を渡った私は、今回の世界に、なにか、違和感を持った。
例えるならそう。
これまでの世界が道端の草なら、今回の世界がまるで木のような。
あるいは、紙で出来ていたいままでに対して、今回は鉄のような。
とにかく、不思議な感じだった。
目の前にいるのは人。
私と同じような見た目の。
机に向かい、私に背を向けてる彼は。
白衣を着て、真剣になにかをしてて。
ふと、こちらに気づいたように振り向く。
「君は・・・」
少しの間不思議そうな顔をして、しかし、直ぐに喜びを噛み締めるように。
「そうか・・・!そうか!」
はっきりといって、状況を読み込めてない私達に、目の前の光景はどこか、不思議だった。
「始めに聞いておこう。」
「君は、回ることを止めたいかい?それとも、いずれ来る終わりまで、止めないかい?」
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