第11話 または90-3

聞いた話は、どれも傍若無人、あるいは頭痛のしそうな、まあ私に痛覚は存在しないのだが、そんな話ばかりだった。

飼育している者の力を借りる。

それならば何ら変には思わなかっただろう。

飼育している者の力だけで宇宙へ乗り出そうとしているのだから。

いや、あるいは当然の考え方とも言えるのか。

かつての記録ではそうした実験もまた行われていたのだから。

不思議なものだ。

大きく異なることがあるにも関わらず、大きく異なっていないのだ。


ふと、気づく。

彼女がなにかをじっと、見つめていることに。

それは石のようで。

それは木のようで。

あるいはそれは生き物だったもののようで。

しかし彼女の顔を見て。

スキャンすることはやめた。

懐かしさと、嬉しさと。

悲しさの混じった、そんな表情。

それを邪魔立てしない。

そしてそれは、切り替わるまで、

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