第9話 または5
「――――――――!」
彼らが何を言ってるか、わからないけど。
「――――――――――――」
嫌でも事態は理解できる。
彼らのうちの一人がナイフを持って近づいてくる。
・・・痛く、なければいいな。
目を閉じ、最初の痛みが訪れた。
やがて、私は意識を閉ざした。
「王よ、とらえたぞ!」
「ご苦労、これより儀式へ取り掛かろうぞ。」
王は背後に飾られた剣を取ると、それ・・に近づく。
腹部へと突き立て、裂く。臓器を握りだし、割く。四本の足を切り、首を割く。
ここで、不思議なことが起きた。
新たな臓器が生じ、腹部が閉じ、足、首が生ずる。
「王よ、・・・これは、いったい・・・」
「あわてるな、神より与えられし食物なのであろう。」
それから王は再び、腹部へと突き入れ、臓器を握りだし、足を切り、首を割き、腹部へと突き入れ、臓器を握りだし、足を切り、首を割く。
一刻ほどだろうか。
あたりにはそれの各部位がそこら中に散らばっている。
「ふむ、これだけあれば冬を凌ぐことができましょうぞ。」
そして、一突き入れたとき、それの体が光り、消えた。
「いったい・・・」
「なるほど、道理であるな、神よ。」
王には理解できたらしい。
「王よ、無礼を承知でお聞きしたい。」
「許す、申せ。」
「は、なぜ、それは消えたのでしょうか。理由をご存じのようですが・・・」
「なるほど、わからぬか。あれは神の物だ。もぎ取りすぎれば怒りを買う。それを知る我等が神が我等の元から消し去ったのだ。」
「それででしたか。」
「その通りだ。さあ、次なる任務だ。全国民へと通達せよ。我等に神あり。神は飢えを拒絶した。第一区画より配給する、と。」
「了解、任務にあたります!」
外の声が響く。
やはり、我らが王は神に認められしものなのだ。
王に仕えられたこと、誇りに思う。
王よ、永遠であれ。
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