第18話

「さっきの熱烈な告白だけど」

またクリームを吹きそうになって堪えたら咽た。

「何か、飲め。クリームも拭け」と言いながらティッシュを箱ごと渡された。

「すみません」

ちゃんと聞いてたんだ。怖い。

「感情の行き場を失って有り余ってるんじゃないか」

言い当てられた気がする。返事が出来ない。

「まあ。無下にも出来ないな。おまえが18になったら返事をするか」

「えっ?!」

オレの誕生日って来週だけど。

「それまでに俺も腹を決める。考えるから、ちゃんと」

脈ありですか。期待していいのかな。

「これ、美味しいか?」

もう話が変わるんですか。じゃあ、お断りなんですね。性格がねじ曲がり過ぎです。

「シュークリームはどこの店でも同じ味じゃないですか? あまり食べないから分かりませんが、美味しいですよ」

「施設だと、あまりおやつに出ないからな。食べ比べたりも出来ないし」

あ、シュークリームをちぎるんだ。そんな事したらクリームがこぼれて大惨事になるのに。

「食べるか?」

ひと口ぶんだけちぎった残りを渡された。

「折角いただいたから、少しは食べないと悪いから」

義理堅い。

それに、このシュークリームは大きいからな。食べきれないんだ。元々、糖分を取らない人だし。

げー。でも、これ2つ食べたら晩御飯抜かないとまずいな。

「糖分を取れば抑制できるぞ、性欲。まあ、ココアとかチョコレートは別だけど」

性欲って来た。

「! あなたねえ、からかうのもいい加減にしてくださいよ、オレは本気で」

「分かったよ。17.8才なら誰でも同じだ」

お盛んだと思われてる、誤解です。あ、でも誤解でもないのか。すごく矛盾してる。

「いやいや違いますって! 抱きたいとか抱きしめたいとかじゃ」

「さっき、したよな」

もう、無理ですね。

いいや、『出て行け』と言われないだけ感謝しないと。

あ? 18になったら未成年後見人の役目が終わるじゃないか!

1人立ちしないと。

いざとなると寂しさが募る。覚悟が出来ない。甘えすぎた。


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