section5 隼人のこだわり

有香「佳奈ちゃーん。おつかれー、ぎゅー」

佳奈「有香ちゃん・・・・・・訓練終わったかばかりだから汗臭いよ? 大丈夫?」

有香「いやいや、それがいいのよ。スメルスメル。うしし」

佳奈「スメルって、恥ずかしいよ……」

有香「ちぇっ、つまんないのー。でさ、佳奈ちゃん。負けたの、やっぱ悔しい?」

佳奈「うん。すごく悔しい」

有香「佳奈ちゃんよくやってると思うよ。あんなの速すぎて目で追えないって」

佳奈「わたしだって殆ど見えてないよ。直感で動いてる」

有香「だよねー。ところでさ、桐原先輩って何で加速の術式しか使わないんだろう?

だってさ、あんなに速いんだから他の術式使えれば鬼に金棒じゃない?」

佳奈「あー、うん。わたしもそう思ってたよ。でもね、使えないし、覚える気もないんだって」

有香「え? なんで?」

佳奈「もともと自分が魔術師じゃなかったから、多くを覚えることができない。

   だから一つ、極限まで極めることが1日でも早く強くなるための近道なんだっ

て」

有香「佳奈ちゃん詳しいーねー。川上くんから?」

佳奈「天月くんからもね。でもすごいよね、本当に。わたしももっともっと頑張らな

いと」

有香「いや、あれは結構変態で、佳奈ちゃんもわたしなんかと比べれば十分戦闘力高

いよ」

佳奈「そんなことないよ。わたしなんで器用貧乏だし」

有香「普通だよ。わたしだってあそこまで極めようとは思わないし」

佳奈「確かに、そうだね。桐原先輩、あれで昔結構怪我してたしね」

有香「エグゼ・フォーミュラもぶっ壊してたよね。一回修理に着いてったけど、店長青筋だよ」佳奈「天月くんも時々文句言ってるよ。ムチャクチャするなって」

有香「そりゃ言いたくなるよ。いっつもじゃん。そこ以外はここ数ヶ月くらいは安定

してきたけど、前までは週に一回は骨折したり、倒れて担ぎ込まれたりしてた

もんね。ありゃ、マゾだよ。わたしは真似できない。すごいけどねー」

佳奈「うん。すごいよ」

有香「馬鹿も極めればっていうことの典型だよね、あれ」

佳奈「でも、だからみんなに認められて、隊長になれたんだよ」

有香「それは、そうだけどー」

佳奈「でも、これから分からないよ」

有香「え?」

佳奈「ライバルがくるかも」

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