第二章 新しい家族

section.4 双太の身長

双太「なあ、母さん」


未恵「どうしたの? 双太ちゃん」


双太「どうしてそんなに嬉しそうなんだ?」


未恵「ううん。そんなことないよ(だって双太ちゃん滅多に話しかけないんだもん)」


双太「そ、そうか、な? まあいいや。それでさ、母さん。メイのことで聞きたいことがあるんだ」


未恵「何かな何かな?」


双太「で、でも、ぜったい誰にも言うなよ。恥ずかしいから、特に一美にはぜったい知られたくない」


未恵「アイアイサー! それで、何なの? 双太ちゃん」


双太「メイさ、おれより身長、高いのかな」


未恵「・・・・・・・・・・・・」


双太「な、なんだ?」


未恵「ううん。男らしいなって」


双太「そ、そうか。そうだよな。やっぱり男なんだし、女より背が低いのはちょっとカッコがつかなくて、悔しい」


未恵(可愛いな双太ちゃん。そんなことで意地なんて張っちゃって)


双太「一美には今負けてるけど、メイにも負けてたらどうしようかなって思ってた」


未恵(そうだよね。自分が守らなきゃって、自分が頼りにされなきゃって、精一杯背伸びしてるんだもんね。不器用だけどまっすぐで、重ちゃんみたいなだな)


双太「それでさ母さん、どうなんだ?」


未恵「うーんとね、確か双太ちゃんの身長が高いよ」


双太「そ、そうか! 良かった。うん、安心した」


未恵(嘘は言ってないけど、ほんとはデータ上1cmしか違わないから誤差の範疇なんだけどね)


双太「よし、頑張るぞ」


未恵(でも、双太ちゃんやっと決めてくれた。前を向いて、自分なりの答えを掴もうとしてくれている)


双太「母さん? どうして、泣いて・・・・・・」


未恵「泣いてないよ。お母さん最強だから」


双太「最強って・・・・・・なんだよ」


未恵「ひ・み・つ(双太ちゃん、頑張ってね。大丈夫、きっと一美ちゃんも分かってくれる)」


双太「はあ・・・・・・」

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