第137話 母を亡くしてからの感情

 薔薇のためにという吉村明美さんの少女マンガがある。

 このマンガに出てくる長女の芙蓉は、母親が嫌いなのだが明らかな憎しみの態度などは無い。

 だからこそ彼女が母に対する態度が気持ちが、私が母に対する気持ちにとても近いなと思いながら読んでいた。


 そんなこのマンガの中で芙蓉が、母親が死んだ時に悲しかったらどうしようと言うようなシーンがある。


 私もそれを読んだ時に似たような事を思っていた。


 私は母が亡くなった時に悲しいと思うのだろうか、それとも何とも思わないのだろうか。


 前からもチョコチョコ書いているように、別に私は母の事が大嫌いだとか憎んでいるわけでは無いので、亡くなって嬉しいというような感情は持たない事は分かっていた。


 だけど悲しいと思うかどうかは分からなかった。

 娘として無感情であっても、人としての情はある。

 情はあっても、離れて暮らしているので遠い親戚の人ぐらいの感覚なのだ。


 そんな私が実際、母を亡くしてみてどうだったかというと……よく分からない。

 まだ落ち着いてないから分からないのか、やっぱり無感情のままなのか。


 だからこそ、こうやって長々と母が倒れてからの出来事を綴り、その出来事を書き終わった後も自分の感情と向き合っている。



 一度も泣かなかったと前回書いたが、周りから心無い事を言われると敏感に引っかかるしきにする。


 ある人から、慰めの言葉だと思うが


「誰でも通る道だからね」


 と言われ、今それ言う?無神経じゃ無い?と変に傷ついた。

 そりゃあ誰でも通る道かもしれないけど、45歳で天涯孤独になるって早い方じゃないかな?

 そうでも無いの?

 私には兄弟もいないし、付き合いのある親戚もいない。子どもだって居ない。


 血の繋がった人はいないのだ。

 それって普通の事なのかな?


 とサラッと流せばいいのに、気にしてしまう。

 何だかんだ言って、ナーバスになっているのだろうか。


 私ですら普段と変わらない態度を取り、生活をしながらも今だに内心は落ち着かない。

 義父はもっとだと思う。

 出来るだけ考えさせないように、楽しい事をさせてはいるがこの後大丈夫かな?と私は心配しているが、多分周りは私たちの表面しか見ないだろう。


 そういうものだよね。でもそれは仕方がない。


 なのでそれもあるからこそ、私は私や義父の感情と向き合いたいし綴りたいのだ。

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