第120話 母が倒れた5
「別にこの後、家に帰ってすぐに容態が急変して亡くなって、亡くなる時に居合わせられなくてもいい」
と義父は言い、看護師さんの説明を聞いた後に家に帰る事にした。
車で来ていたAくんのお母さんが送ってくれると言うからだ。
それがいい。
いくら元気と言えど、義父だって70を過ぎている爺さんなのだ。
徹夜で横になる事も出来ずに、ソファーで過ごしてばかりいたら体調を崩してしまう。
実家に着いたのは、お昼の2時前だった。
いつまた病院から電話がかかってくるか分からないから、交代で寝ておこうかと義父に提案したが、義父はあまり寝られないようで私に寝ていいと言う。
私も徹夜して長旅をしてきた割に目がさえている。
体だけは休めておこうかと横になって軽く夕方まで過ごした。
義父の代わりに、義父の会社に電話して母が倒れて危篤のために少しの間会社を休む事を伝えた。義父は動転しているからだろうか、自分じゃ電話出来ないから私にしてほしいと言ったのだ。
その後、私も私自身の会社に朝電話していたが、改めて今の状況説明を話した。
そして何故だか、その後今日はもう病院から電話は無いような気がして色々な雑事をこなす事を優先した。
母は髪を染めていて、お風呂で洗い落とした後軽く着替えてトイレに行こうとしたところで倒れたらしい。
元々、薬を飲みながらの治療をしている程度の病気はいくつも持っており、その中の一つに高血圧もあって、多分、お風呂上がりの寒暖差で脳の血管が切れたのだろうと義父は言っていた。
つまり今回倒れた原因は、脳の血管が切れた事による脳梗塞のようだ。
母は数年前に、軽い脳梗塞をやっていた。
本人も自覚症状が無いぐらいに軽いもので、もちろん何の後遺症も無かった。
なので今回は二度目という事になる。
義父は夜に仕事なので、もしかしたら倒れてからの発見が少々遅かったのもあるかもしれない。
数年前に交通事故に遭って、少々膝を悪くしていたのはあるが、入院するような病気もしてこなかったし、本当に突然だったのだ。
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