第107話 もう一人の幼馴染
最初の頃に書いた、幼馴染のAくんは母の親友の子なので繋がりがあったし小学生ぐらいまでは行き来があった。
今回書くのはそのAくんとは別の幼馴染の話だ。
彼、友くんは私が職業訓練校で再会した理緒ちゃんのお兄ちゃんだ。
友くんは同い年でAくん同様、一度も同じクラスになった事は無かった。
けど向かいの家に住んでいたので一緒に遊んだり、泊まりに行ったりをしていた。
この友くん、理緒ちゃんの家にはもう一人、友くんの年子の妹有ちゃんがいたが、彼女は少し気が強い子で私とは合わず、あまり一緒に遊ぶ事は無かった。
なので私は友くんと遊ぶか理緒ちゃんと遊ぶかだった。
子ども時代の事を書いた頃に友くんについて何も書いてこなかったが、実は友くんの方がAくん以上に付き合いが濃かった。
友くんは口数が少ない子だが、自分の興味のある分野に対しては語ってくれる子で、私はそれを聞くのが好きだった。
そして趣味の一つが釣りで、近くの川に行って釣りをする際について行って隣に座っているだけという過ごし方をする事もあった。
なのでそれを同級生に目撃されて、ひやかされた事もある。
私は「言いたい人には言わせておけばいい」ぐらいに思っていたので放っておいたのだが、6年生のある時、友くんの担任の先生から呼び出しを受けた。
その先生は厳しいけれど、芯のしっかりした先生なのだと思って尊敬していたが、呼び出された時に問われた事が、子どもの噂話以上に幼稚に感じられたのだ。
問われた内容の詳しい事は忘れてしまったが、呆れた事と先生に対してガッカリした事だけは憶えている。
たぶん、私と友くんが付き合っているのか?とかイヤラシイ感じの事を問われたのだと思う。
確かに小学校6年生と言えば、少し体つきも大人になってくる頃だろう。
けれど私たちは、ご近所さんで同い年で気も合いやすい相手だったから一緒に過ごす事が多かった友達なだけだ。
それなのに、何故もう一緒に遊ぶなぐらいの事を言われなきゃいけないのか、納得いかなかったし、大人をイヤラシイと思った。
結局、同じように別で呼び出された友くんが先生の言う事を守ろうとしたために、その後彼は私と二人きりで遊んでくれないようになってしまった。
それでも私は理緒ちゃんと遊ぶために家に行っても、友くんがいれば声をかけたし気にもしてた。
でも彼はやっぱり、前とは違ってしまった。
大人になって、再会した理緒ちゃんに友くんの事を尋ねてみると、相変わらず大人しい人のようだった。
まだ結婚はしていないという事だけは伝え聞いている。
元気ならそれでいいよね。
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