第82話 家庭的な部分と電話
私がヒロトさんのことを異性として気になりだしたのは、私のオープンスケベな部分ばかりを見て、メールしてくれたんじゃないと分かったからだった。
1回、私の夢を語ったことがあった。
私の夢は家族が帰ってきた時に、美味しいにおいのする状態を私が作って迎えてあげられる場所をつくること、そういう家族を得ること。
それに近いような感じのことを書いてた。
そしたらヒロトさんはそれを書いたのは、かなり前のことだったのに印象深く憶えててくれて、そういう夢の私が好きだって言ってくれたんだ。
同調してくれるのも嬉しかったけど、前にチラリと書いたことを憶えててくれたのも嬉しかった。
ヒロトさんは、私のような優しい(?)真面目な感じの女性と結婚を望んでいると言っていた。
別に彼がどうだというだけじゃなく、私にとって結婚は『芸能人になりたい』というぐらい遠すぎる夢だったから私との結婚を考えたいと言ってくれたことに対して素直に受け取ることは出来なかった。
だけど好意は更に持つようになって、会いたいと思うようになっていった。
そんなある日、メールを続けてるヒロトさんから私がお風呂に入っている間に電話があった。
声が聞きたいっていうから、あまり気乗りしなかったけれど番号を教えた。
そしたら、早速かかってきた模様。
ごめんなさい。
私、お風呂に入ってるときで良かったと正直、ホッとしてる。
ただでさえ電話が苦手なのに知らない人と何話していいか分からない。
毎日メールしてるのに知らない人なんて言い方、いけないのかもしれないけど、アキラさんやタクヤくんに比べたら、やっぱり知らない人。
なんで男の人って声が聞きたいって思うんだろう。
そう思っていた。
でも着信があったのが分かっているんだから、かけ直した方がいいのかな。
たかが5分~10分の電話でなんで、こんなに憂鬱にならなきゃなんないの。
会ってから断るより今、断った方がいいのかな……。
そうやってグルグル悩んでいたのに結局は電話したのだった。
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