第59話 既婚者

私がライバルだと思った、優さんのメル友Aさんは

38歳で男性未経験という人だった。


このAさんは優さんの体の心配もして

その病気の勉強までしていたのだ。

そんなところに優さんも惹かれているのか、遠距離でも会いに行きそうな

感じがして嫉妬しそうだった。


私と優さんは、優さんが生活のためにやっているアイルバイトの件で


優さんはそれを「女の仕事だ」と言って自分のしている仕事を卑下し

それだけではなく、仕事差別的な意見も言い


その事で私と軽いケンカになった。


私は物事を深く考えないで

昔ながらの昭和っぽい差別意見を言う人を軽蔑してしまうところがあるので


「女の仕事とか男の仕事とか」

というのが気に食わなかったのだ。


そのため、優さんとはその後

メールも電話もしなくなってしまった。



その寂しさから、またもや他のメル友探しをしていたら

私のメールボックスに連絡をくれた人がいたのだ。


でもその人は既婚者だと言う。


私は婚活(この頃は婚活という言葉は無かったけどね)

のつもりもあってメル友を探していたので

既婚者とやり取りをするつもりは無かった。


それでもこの人とメル友になってしまったのは


私にメールしたのが

初めての出会い系デビューだったということと


このサイトの管理人から

退会を強制されたというのを聞いたからだ。


このサイトは、真面目な出会いを

目的とするところで既婚者は

利用禁止だったのだ。


それに気がつかずに利用してた彼が

不器用で可愛く思えた。その上、正直だったから。


サイト外でメールをし始めて

彼の名前が「まさと」漢字は違うけれど

私が出会い系をやる前に一番最初に付き合った彼と同じ名前だった事と

優さんと同じ歳だという事を知り


余計に気になってしまったのだ。


既婚者なのに、いつメールしても電話してもいいと言うし

住んでいるところも、勤め先も、本名までも教えてくれて


ついつい惹かれていってしまった。

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