第60話 既婚者男性と会う

既婚者の方の雅人はメールのやり取りをして一ヶ月ぐらい経った頃に

会いたいと言い出した。

同じ市内の隣町に住んでいたので会おうと思えば簡単に会える距離だった。


既婚者だからという気持ちの歯止めもあったが


雅人(かなり年上だが本人に呼び捨てにしろと言われた)が

何度も、奥さんとは家庭内別居状態で

もう少しして子どもが独立するまでは我慢している

というような事を言うので、会ってしまったんだよね。



会った雅人の印象は

真面目なサラリーマンタイプだとメールでは感じていたが

実際はスポーツマンタイプという感じだった。


手慣れた感じで小料理屋に連れて行ってくれ、お酒を飲んだ。

雅人は私の会った印象を、思っていた通りの子だと言った。


実際に会っても私に引く事無く、可愛いと言ってくれる事に

気を許してしまった私は、その後のホテルの誘いにも乗ってしまった。


乗ってしまった、という書き方をしたが

別に後から後悔したわけじゃない。

既婚者が相手なのにというタブーをおかしてしまった事だけが

いけなかったと思っている。


けれどこの雅人との出逢い、そしてその後の付き合いで

私はかなりの自信をもらった。


まさに「私という人間」の形成に大きな影響を与えた一人だと思う。


中学時代に同級生の男子におそわれた事

カメラ小僧のような人に数ヶ月間、つけられ写真をとられた事

ターロに触られ続けた事

初めて付き合った男性、正人がモラハラ男性だった事


などから男性が怖かったけれど

みーたんのところから逃げてから、誰かを愛したい欲求で

もがいていた私が、愛してもらえた男性が雅人だった。


雅人と付き合い始め、その数日後に

あの、「男の仕事、女の仕事」の件でケンカをした優さんから

久しぶりに連絡があったのだった。

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