第25話 高校は楽しい

高校に入ると、周りがみんな賢そうに見えて

私、ついていけるかな?なんて思ったものだ。


ところが、初っ端の数学の授業で

私が中学の復習のような問題を答えたら

いきなり英雄扱いの様にもてはやされたのだ。


その後、知ったのだが

私が入学した女子校は県下一おバカな学校だと言われているらしく

それどころか、隣県からも自分の県の学校で入れるところが無い人たちが

やってくる高校だったらしいのだ。


そして授業内容の緩さにも驚いた。


数学は数Iの教科書を三年間かけて勉強するらしい。


何という学校だと思ったが、すぐにそんな事はどうでも良くなった。

というのも、あっという間に友達がどんどん出来たからだ。


私の学生生活史上、一番たくさん友達が出来て

一番濃い友達が出来たのがこの高校一年の時だった。


ところで、私が通い出したこの高校は私立だ。

つまりお金のかかる学校だ。


幼い頃より親の借金暮らしで中々に貧乏な暮らしをしてきた私が

私立に入れたのは、ターロのおかげだった。


ターロは基本、遊び人で母同様

パチンコをしている人だったが、この頃のターロは

知人に頼まれて不動産の仕事を手伝っていたのだ。


インテリのターロは少しなら英語も出来るらしく

不動産の仕事に英語が必要で、ターロが助っ人として呼ばれたらしい。


その仕事でまぁまぁ儲かったらしく

その頃の我が家は何か、やたらと新しい家電製品も増えていた。

という事で私の入学金も問題なく払えたらしい。


お気楽なもんで、「らしい」と書いた様に

当時の私はそんな事情は知らず、知らないくせに

遠慮なく私立を志望校にしていたのだ。

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