第2話 幼い頃の記憶1 八甲田山

 私が一番小さい頃の記憶があるのは、推定2歳ぐらいの頃のその当時住んでいた家の居間の風景だ。


 でもそれはもしかしたら何度も見ていた、アルバム写真の中の背景にあったからなのかもしれない。


 なのでそういったものではなく、もっと明確に憶えている記憶とするならば

 3歳の頃の【八甲田山】を観に行った時の記憶だ。


 映画の内容はその後何度か、テレビでも見ているのでその時の記憶ではないかもしれないが見た映画館の記憶と、一緒に行った人の記憶は確かに、その3歳頃の記憶だと思う。


 縦長の小さめの映画館で、母と叔父と私の3人で真ん中より前よりの席の左端の席で見ていた。


 観に行った映画館は当時私が住んでいた尾張旭市の隣、瀬戸市であの恐ろしい八甲田山を見ていたにも関わらず、泣きもしなければ寝もしなかった


 というか、そんな幼子をあの映画に連れてくか?うちの母親!と突っ込みたくなるが別に内容がトラウマになったわけでも無いのに、私はずっとこの時の事を憶えている。


 ちなみに、もう少し大きくなり5歳ぐらいの頃にテレビで八甲田山を見た時に、おしっこをして死んでしまう兵隊さんを見て

「何で死んじゃったの?」

 と母親に尋ね


「したおしっこがすぐに凍っちゃって、それで死んだのよ」


 と説明を受け、まだ小学校にも入っていない頃だったにも関わらず


「そうなんだ」


 とすんなり納得していた記憶も残っている。

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