歪んだ仮面

自殺の計画を立て、遂行しようとした。

電車に轢かれたかった、屋上から飛び降りたかった、ODしたかった、リスカしたかった、首を切りたかった………。


ワタシは死ねなかった。


ワタシ自身を肯定することも、ワタシ自身を尊重することも、出来なかったくせに、

自己愛だけは異常に発達していて、歪み過ぎていたのだ。


ワタシは、心に被せた立派な仮面を愛しすぎていた。

ワタシ自身を繕い、作り上げるための仮面。ワタシを守るための仮面。

生きるために一から丁寧に作りあげた、完璧で立派で美しい仮面。

傷つけることも、潰すことも、壊すことも、怖かった。許せなかった。


仮面を愛し、仮面に囚われすぎていた。


そんな事で死ねないワタシは、くだらなく滑稽で無様だ。

ちんけな傷つけ方しか出来ないから、死ねなかったんだ。

消えたいのに、死にたいのに、それが叶えられないワタシは、

無駄に美しく仮面という作品を作っては、失敗作ばっかで、壊せない、意気地なしだ。


酷く絶望した。

仮面のために、自らを殺し、心を削り、無くした。


ワタシには、仮面しか残らない。

だから、崩れたときの仮面の破片を拾い、戻すことに精一杯だった。


頼れるモノは、ワタシの仮面だけ。

仮面を直すことは、ワタシ自身を直すこと。

仮面は、ワタシ自身。

それがどれだけ異質なことか、このワタシには理解できなかった。



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