Episode:02-04 探し物

◇The Girl

 声をかけてきてくれたその人は、とても親切だった。

 お店のことを知ってたし、この町にも詳しいみたいで、案内役まで買って出てくれたのだ。

 ――途中で素性を見抜かれかけたのには、慌てたけど。

 けど黙っててくれるって言うし、「世間」っていい人が多いんだと実感した。

 ともかく彼の案内で、無事、店までたどり着く。

「あの、すみません……」

「おっさん、お客だよ」

 奥へ声をかけると、熊みたいな男の人が出てきた。改造屋って言うと見かけからして器用そうな人が多いから、これは珍しいかもしれない。

「なんだ、イマドか。お、今日はずいぶんかわいい連れがいるんだな?」

「おっさんがヘンなとこに店構えてるから、わかんなくて捜してたんだよ。だから案内してきたんだ」

 どうやらこの彼、ここの店主と知り合いだったらしい。どうりで店の場所を知ってるわけだ。

 けど「可愛い連れ」って……?

 別にあたしたち、イヌとか連れてないのに。

 それに二人だけで、なにか話が弾んでる。

 ――あ、そうだ。

 そのうちやっとあたし、自分が何をしに来たのか思い出した。

「――兄がお願いしてたの、出来てますか? 太刀なんですけど」

 これを受け取らないことには、帰るに帰れない。

「ん? ああ、出来てるよ。えーと、これだろ?」

 一振りの太刀を出される。

 受けとって鞘を外すと、店内の明かりに照らされて刃が光った。

 腕がいいというウワサは本当だったらしい。みごとな仕上がりだ。魔力もよく伝わって、刃との一体感がある。

 でもこういうのはやっぱり、試してみないと、と思った。服の試着と同じで、使って初めて分かることは多い。

「あの、試し切りしても……いいですか?」

「え? お嬢ちゃんがかい?」

 あたしがそんなこというなんて、思わなかったんだろう。おじさんがとても驚いた顔をする。

 でもおじさんに限らず、だいたいの大人の人は、そういう反応だ。

「まぁ、裏のガラクタなら構わないが……」

「ありがとう、ございます」

 了解を取った上であたし、店の裏へと回った。

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