第4話 終わらない心臓の鼓動
何時間経ったのだろうか?
私的にはもう丸一日くらい経った気がする。だがもしかしたらたった5分かもしれない。人は緊迫した状況に置かれると時が長く感じるらしい。
そう、だから、それくらい今の私は落ち着いていないという事だ。
けれどもそれも当たり前だ。
なんせ私は現在進行形で得体もしれない怪物に追われているのだ。
正確に言うと怪物は今、私を探したかと思うとまた元いたエレベーター前に座り込み寝こけている。寝息を立ててすやすやと気分が良さそうに寝ている。
しかしいくら寝こけていると言ってもまた近づいたり少しでも物音を立てたらすぐ起きて私を探しに来るだろう。いくら死角といえども見つからないと言う保証はどこにもない。
そして私が襲われない保証も、死なない保証もない。
(考えろ…考えろ…!!!)
どうすればいい?
怪物はエレベーター付近で寝ている。恐らくこのフロアから出るにはエレベーターしか道はないだろう。見渡しても階段のようなものは一切見当たらない。
いま私が取るべき行動は明白だ。
今来た場所を引き返して地下道を通って他の道を探し地上に出ればい。
でも、
もしかしたら地下道にもあんな怪物がいるかもしれない?
でもここで立ち止まっていたら何にもならず餓死するかもしれない。
私はお腹が空いてきたのだ。
何度も呼吸を整える。
靴は音がなるので脱いで手に持って行く。怪物の前を横切るルートしかなさそうだがさっきのように近づかなければいいだけだ。
すー…はー…
意を決してゆっくり進み出す。
日光が上から射し込んでいる。
怪物からはまだだいぶ離れている。
大丈夫。大丈夫。音さえ立てなければ
「チリン、チリン」
ふと鈴のような音がした。
終わった。
完全に終わった。
怪物は目を覚ましこちらへ猛スピードで走ってくる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます