第3話 進んでいくと
私の家はどこなんだろう
漠然とした問いが頭の中を巡っていく。
そもそも私に帰る家はあっただろうか?
というかその前に私の名前は?
私は誰なのだろう?
何故こんな薄気味悪い地下道を歩いているのだろう?
そう考えていると一気に自分ことが気になり出した。ここで唯一信じられ存在するのは自分だけなのに一気に自分の体が別人の物のようによそよそしく感じられる。
とにかく、誰かにあって助けを求めよう。
そうすれば通行人が警察なり、病院なりに通報してくれるだろう。そうすればこの状況をどうにか出来るだろう
しばらく歩いていると大きなドアが現れた。地図通りに来たはずなので、ここが区役所の入口に違いない。
このドアは左右に開く自動ドアなのだろうが、電気がついておらず近づいてもビクともしない。
「うーーーーーっ」
私は力いっぱい扉隙間に手を入れ、こじ開けようとした。なかなか開かないので左右に引張ったり少し叩いたりすると、その甲斐あって少し隙間が開き、とそこに手を入れて左右にずらすと、するりと扉が開いた。
まっすぐ進むと天井から光が射し込んでいるのが見え安心し、そのまま光が射し込んで明るい所まで歩いていく。
なかなか綺麗な施設で、光が差し込む上を見るととても高層な建物だと言う事が分かった。近くにエレベーターがあるので登って地上階まで行き助けを求めよう。
その時エレベーターの近くに何かが居るのが見えた。黒っぽい風船だろうか。生き物のように見えるが私はこんな生物を見た事がなかった。
ぬいぐるみ?
近くによってそれを触ろうとした
その瞬間、
「■■■■■■■■■■■ーーーァ゛!!!」
この世のものとは思えない雄叫びをあげて怪物が私に襲いかかろうとした。
その化け物は獅子のようでもあったが熊のようでもある気がする。
獰猛である事だけは確かだ。
怪物が自分を覆い込もうとしていた
もう駄目だ、と思った時顔覆い隠そうとした手が首にかかっていたカメラのシャッターに触れた。
「バシャバシャバシャバシャ!!!」
勢いよくフラッシュが焚かれると怪物はその場で目を瞑って疼くまった。今しか逃げられない、そう思った私は勢いよく自販機がある隅の死角まで走って逃げる。その時は生きた心地がしなかった。
転んでしまわないか心臓がはち切れそうなくらい心配だった
そこは壁の一角に設けられた自販機用の死角で、ここならバレないだろうと言う位置だ。私はその場にしゃがみこんで音を立てないように息も絶え絶え安堵のため息を漏らした。
そしてこう思った。
(このカメラいつから持っていたっけ…??)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます