41|《☆》の価値は私だけが知っている。

 以前『【質問企画】あなたの創作論、評論が誰かの参考になる』(企画者/八幡西県研究室)という自主企画に参加したときに【おまけ】で書いた文章が好評(?)だったので、こちらに移させていただきました。興味がありましたら、どうぞ。


 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


「レビューが欲しい!」

「☆が少ない、もっと欲しい!」


 カクヨムで、たまに聞こえてくる作家の《声》です。


 でも、そういう人は、本当に☆が欲しいのでしょうか?

(ホシがホシイ、ちょっとダジャレっぽいですけど、お気になさらず・笑)

 そういう人は、たくさんもらった☆を、まわりに自慢したいだけなのではないでしょうか?

 たまに、ちらっと思います。そういう人は、自身の物語そのものが面白いかつまらないか…そういう事には関心がないんじゃないか?と。


 たとえば、お金で1000個の☆を買ったとします。


 その☆の数を見て、「こんなに☆をもらってるんだから、この作品はきっと面白いはずだ!」と思って1話目を読む読者は多いはずです。そういう宣伝効果はある。

 でも、そのときに、「あれ?なんだか面白くないなぁ…だまされたなぁ…」と思われて読者が去っていったとき、きっと、私がその作家だったら心が痛みます。

 それは《嘘の☆をつけている》《読者をだましている》という罪悪感ではありません。


 それは、自分の作品自体に《人を惹きつける魅力がないのだ》と、まざまざと突きつけられるからです。嘘の☆を看板につけて、それでしれっとしていられる人は、おそらく向上心がないのでしょう。


「もっと、自分が書く物語を面白くしたい」

「もっと、自分が理想とする物語に近づけたい」

「魅力的なキャラクターを生み出したい」

「あっと言わせる伏線をしのばせたい」

「圧倒的なクライマックスをつくりたい」


 作家はみな、それぞれに自身の物語に対する熱い思いというのはあるはずです。

 そう思って、物語を勉強し、研究し、少しづつ努力を積み重ねた結果、面白い物語を作れるようになる。


 そして☆は、その努力の結果なのです。



               ***



 いま、私がここで書いている作品『サクラ・イン・アナザーワールド』は、80個の☆をいただいています。(※2023年6月現在では87個)


 この数字を見て、「なんだ、まだ、そんな少ないのか」と思う人もいるでしょうし、「すごいな、自分はそんなにもらってないよ」と思う人もいるでしょう。

 でも、私としては、誰になにを思われても、そんなことはどうでもいいのです。


 この80個の☆の価値は、私だけが知っていれば、それでいい。


 じつは、数年前―—この『サクラ・イン・アナザーワールド』という作品、自分のうっかりミスで削除してしまいました。

 バックアップを取っていなかった私は、頭まっしろ!(笑

「やっちまったー…」と思って、途方に暮れました。


 でも、まぁ…そもそも、オリジナルの作品は、第1章の前半が支離滅裂で「いつかは大改造しなくちゃダメだな…」と思っていた矢先の出来事だったので、うっかりミスを好機ととらえ、すべて、1話目から書き直すことに決めました。


《削除事件》は、第2章の後半あたりを書いているときです。

(現在、第2章の中盤あたりなので、いま思うのは「やっとここまで追いついたな…」という感覚です)


 で。そのときの☆の数は17個。

 2名の読者(←私の中では、もはや神・笑)が、支離滅裂な前半も乗り越えて、「ん?」ってなる箇所もなんのその! ずーっとずーっとエタることなく読み進めてくれていました。それはそれは、本当にありがたい存在でしたけれど…さすがに鈍感な私も気づきます。


 第2章の後半に来ても、2名しか読み進めてくれないって、どんだけ面白くない書き方をしてるんだ!?…って話ですよね?^ー^;


 私は、作家の《初期衝動》を信じている人間なので「自分が生んだこの作品は絶対に面白い」ということに自信があります。それなのに読者の反応が薄いのは、すべて自分の書き方に問題があるからだと思いました。


 じっさい、『サクラ…』の場合も、問題が山積みでした。


 ・第1章の前半が支離滅裂だったこと。

 ・人間ドラマのはずなのに、深く描けていなかったこと。

 ・伏線の張り方が甘く、クライマックスで「おお、そうだったのかぁ!」という驚きを、上手に演出できなかったこと。

 ・第2章のヒキが甘かったこと。などなど…。


 それらを踏まえて、「今度こそは!」と書き直しはじめたんですね。


 その原動力は、自分が生んだ物語を高みへ導きたい…もっと面白く、もっと感動的に、もっと魅力的に輝かせたいという《理想》《情熱》《向上心》が自分の中にあったからです。


 その結果、いまは、平均すると20名ほどの読者が読み進めてくれていて、オリジナルのときの10倍です。オリジナル作品を超えて、数倍は面白くなったという証なのです。


 私は、自分が他作品を読む(あるいは映画などをみる)とき、100作に1作の割合で「わぁ、面白い。これ好きかも!」という作品に出合うので、自分の作品もそんなものだと思っています。


 100人が読んで、ひとりがファンになってくれれば上出来、「それでよし」と思ってますが―—いまの『サクラ…』は1話目のPVが300なので、300人が読んで20人がファンになってくれてるという結果になってます。つまり、上出来どころか、私にとっては奇跡です。(笑


 100人が読んだら、約7人がファンになる。

 つまり、100万人が読んだら、7万人がファンになる。

 それは、なかなか、ワクワクする数字です。


 私は、この先も、このワクワクをモチベーションに、頑張って書き続けることでしょう。でも、それで満足というわけでもありません。もっと面白くなるよう、もっと高みを目指してゆくつもりです。


 私にとって、☆は、欲しいと思って手に入れるものではありません。

 向上心をもって努力した、ただの《結果》なのです。



 ☆80個——

 それは、毎日、コツコツと試行錯誤しながら、がんばった証。

 その価値は、私だけが知っていればいい。そういうものなのです。


 あなたの☆は、あなたの中で、誇り高く輝いていますか?

 あるいは、☆のことなんて忘れるほどに、創作に夢中になっているでしょうか?



 きっと、それができたら、それが作家にとってのシアワセ…です♪  *^ー^*




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る