16|『LOST』観つづけることの重要性について。

 さてさて、みなさま、今日も楽しく小説書いてますか?^-^


 今回は、私が物語を書くうえで、いちばん役に立っている、ベスト・ワンお手本ドラマを紹介してみたいと思います。


 誰でも、物語をを書くとき――それぞれに、お手本にしている(参考にしている)物語など、あるかと思いますが…私の場合(小説では、栗本薫氏の『グインサーガ』なんですが)もっとも、影響を受けている物語が『LOSTロスト』というドラマなんですね。それは、もう、すでに、どっぷりと私の中にとりこまれていて、おそらくこの先も、死ぬまで観つづけるであろう、人生になくてはならない物語なんです。


『LOST』は、2007年ごろ、アメリカ産のサバイバル系ヒューマンドラマとして放映がスタートしました。(知ってる人は多いのでは?)ある謎の島に飛行機が墜落し、そこで生き残った彼らが、じょじょに明かされてゆく《島の秘密》とともに、人間同士の絆を深めてゆくという(サバイバル系なんだけど)人間ドラマが秀逸に描かれている、全米で社会現象を巻き起こした大人気ドラマです。


《他の者たち》という謎の先住民や、黒い煙のモンスターや、《ダーマ》という組織や…とにかく胡散臭い《謎》だらけで、それだけでもゾクゾクして面白いんですが、この『LOST』の真の魅力は、登場人物たちだと思っています。そして、登場人物たちが織り成す人間ドラマだと思っています。


 主人公の《ジャック》という脊椎外科医、逃亡犯の《ケイト》、詐欺師の《ソーヤー》、冴えない箱の会社のおっさん《ロック》、拷問人をしていた《サイード》、妊婦の《クレア》、元ロックスターでジャンキーの《チャーリー》、精神病院に入院してた《ハーリー》…まだまだ、いるんですが…こうやって特徴を書きつらねただけで、すでにインパクトありますよね?^-^


 一応、医者の《ジャック》が主人公ではあるんですが、登場人物、ひとりひとりにスポットがあてられ、墜落後のサバイバルシーンと、墜落まえのシーンが交錯して話は進みます。そして、それぞれに《秘密》があり、事情があり、闇を抱えていて、ときに衝突し、意気投合し、愛し合い、人間関係をこじらせたり、深めたりしながら、その苦しみと戦ってゆくのです。


 で。私、この物語がほんとうに大好きで…じつは、いまでも、ずっと、ずっと、延々と観つづけている作品のひとつなんですね。先月、ラストを観終わって泣いたばかりです。また3ヵ月後ぐらいに観ると思います。(笑


 ストーリーなんて全部知ってるし、つぎの展開、つぎにいうセリフ、つぎに見せる表情、ほとんどわかってる…。それに10回以上もみてると、1回さらっと観てるだけの人には気づかない、ストーリーの《穴》というか…辻褄のあわないところが、けっこう見つかるんですが…そんなこと、どうでもいいくらいに、彼らに会ってるだけでシアワセでしかたないんですね。いや、たぶん、バカなんだと思います。*^-^* 


 さて――

 ここまで長々と、『LOST』の魅力について語ってきましたが、なにが言いたかったのかというと…これだけ、くりかえし、くしかえし観ていると、だんだん長編物語の構造が見えてくるということです。


 私、じつは、長編をつくることが苦手でした。

 40ページの読みきり作品も、毎回、起承転結に照らしあわせて四苦八苦でつくりあげていましたし…そもそも、起承転結の話がつくれなかった人ですからね。(※第2話参照)複雑な伏線はって、回収して…なんてワザを使うことは、夢のまた夢…でした。ミステリー書いてる作家は、ぜったい宇宙人だと思っていたし、本格推理の、探偵がラストで謎解きしながら伏線を回収してゆく、あの「おお!」という感じ…ぜったい「私なんかムリだ!」と思ってました。

 でも、あるとき…気づいたら、つくれるようになっていた…!

(本格推理は…いまでもムリかな?笑。でも、いつか挑戦したいです)


 それで、わかったんです。

「きっと、『LOST』を観つづけているからだ!」と…。


 このドラマ、また、脚本がいいんですね!

 私が観るときは《日本語》なので、翻訳してる人のセンスも抜群なんでしょうが…セリフまわしや、つぎのシーンにつなぐテクニック…まったく無駄のない、パーフェクトな脚本です。


 で。いちばん、感心するのは、伏線の張り方。

 よく1話目の伏線が2話目につながるというテクニックはありますが、『LOST』は1話目の伏線が3・4話目にまで絡んできます。ヘタしたら次の《シーズン》にまで張っている!(笑

「ああ…あのときのシーンは、そういうことだったのか!」という、その細かい伏線の張りめぐらせかたが、まー、えげつないぐらいに複雑でハンパないんです。(笑

 すごいテクニックです!


 DVDにオマケでついてる《メーキング》で、そのことについてスタッフが語ってるんですが、「通常ドラマの脚本は、1話目のラストに、次につなげる伏線を入れるだけなので、1話分の会議で済むんです。でも、LOSTの場合、いっぺんに3話分をまとめて会議をするので、時間もすごくかかります」と。

 そうしないと、複雑な伏線が張れないからだというんですね。


 会議の現場が映ってましたけど、ホワイトボードが3つ立ててあって、それぞれに細かく「この部分の伏線はここに持ってく」「この部分は3話目に…」みたいな。からまったコードみたいに、《線》が複雑に入り組んでいて、それを見たとき、

「なるほど! ここまでしっかり作り込んでいるから、あんな面白いストーリーになるんだ」と、納得したわけです。


 長編小説を書いてると、たまに停滞することがあります。

「こういう展開にして、ここまで進んできたけど…ここから、どういう方向に進んでいったらいいの?」と思って立ち止まる。そのとき、おもしろいアイデアが浮かんで難局をのりきるとき…私の中にある『LOST』のDNAが自然と、そっちへ導いてくれます。なんか、抽象的でわからないかも…ですが、そうとしかいえないんだよね。(笑


 でも、きっと、誰でもそうなんだと思います。

 ひとつのモノを、くりかえし、くりかえし観つづける(やり続ける)だけで、人はなにかを学ぶんですよね。そして、それは必ず、身についている。

 だから――なんでも、飽きずにやりつづけることって、大切なんですね。

『 継続は力なり 』とは、よく言ったものです。


 もし、いま、小説につまずいている作家さんがいたら、いちばん好きな映画(ドラマ・物語)を10回以上観てみましょう。「ああ…難局はこう乗り切るんだ!」と気づくはずです。そう。それが言いたかった。^-^


 そして、もうひとつ『LOST』で学んだこと。

 それは――「大長編の物語は、大長編の作品にしか学べない」ということです。


 いままでも、映画を観て構成を学んできましたが、映画の長さは、小説にすると、せいぜい8万字~10万字ぐらいの中篇もの程度です。長い長い物語のサンプルとしては役不足です。長い長い物語を書くなら、《シーズン6》ぐらいまである、長い長いドラマを観るのがおススメです。

 長い長いドラマを、10回以上観ましょう!

 ぜったい、「なにか」は身につくはずです!


 大長編を書くために必要なスキルをまとめると、こういうことですね。


「キャラクターが、ひとりひとり魅力的であること」

「大長編小説は、大長編の物語しか参考にできないということ」

「継続は力なり。観つづけることで身につくスキルがあるということ」


 すでに大長編を書いてる作家さん。

 これから挑戦しようと思ってる作家さん。

 よろしかったら、参考にしてみてくださいね。*^-^* レッツ・トライ!

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