12|『サクラ…』裏話。

 宣伝――というわけでは、ぜんぜんないんですが、今回は、いま、私が書いている小説『サクラ・イン・アナザーワールド』の創作、苦労話を、エンターテイメントに、面白く語ってみたいと思います。おそらく、「あるある」の作家さんも多いのでは…?



               ***



 じつは、この作品は、ずっと大規模なリニューアル工事をしていました。

《第1章》の3話~10話の《8話ぶん》がその対象です。

 そのうちの8・9・10話は、序盤のクライマックスで、ここで、ストーリーがぐぐぐっと盛り上がりをみせ「おおお…!」と読者をひきつけたいという狙いがありました。(※現在、大規模工事は終了してます)


 で。この8話目を更新したとき、なんと、1ヶ月もかかってしまいまして(※このとき《新型コロナ》の影響で自宅待機中だったので、書く時間は無限にあったにもかかわらず…です)これまで感じたことのない、壮絶な『生みの苦しみ』を味わいました。(いつも、ちょっと大袈裟・笑)


 この、物語を《つなぐ》という作業は、じつは、はじめての経験なんですね。

 1・2話は出来あがっている。

 そして、11話からも、出来あがっている。

 1・2・( 空白 )・11・12・13・14…と続いている状況でした。


 この( 空白 )部分を、どう構成して、どう盛り上げて、どうつなぐか…。

 先のストーリーは決まっているので、自由に書きすすむわけにはいかない。

 かといって、盛り上がる部分なので、さらっと流すわけにもいかない。


 しかも、空白と説明したけれど、ほんとうは《オリジナル》の文章があるので、まっさらな状態というわけでもなく…そのオリジナルの中から、必要な要素と不必要な要素を区分しなければならず…

「この部分は残す」

「この部分はいらない」

「この設定は変える」

「この設定はこのまま」

 それは、ひとつの《小道具》(小説内に登場する、武器、イス、洋服、壁に貼ってあるポスターなどなど)にいたるまで、ひとつひとつふるいにかけていきました。


 それはまるで、最上級にむずかしいジグソーパズルを、あっちに入れ替え、こっちにもどし…と、辻褄が合うように、なんども、なんども、シュミレーションしてみて、やっと物語にハマるカタチを見つけました。これは、ほんっとぉーーーに苦労しました。こんな経験は、ほんとうにはじめて。いい勉強にはなったけど…もう二度といやだ。(笑


 そして――もうひとつ…これは、今回にかぎらず、いつものことなんですが、大変苦労したことがあります。それは、すぐ横道にそれるということです。


 ストーリーという名の《メインストリート》があると想像してみてください。

 その両端には、いつくもの横道、枝道、が無数にわかれています。


 もちろん、横道は大切です。

 一見、大筋とは関係なさそうなエピソードも、最終的にすべてが1点に集まって、物語はクラマックスに向かいます。本格ミステリーで「おまえが犯人だったとは!」っていうドンデン返しは、わかりやすい1例ですよね。


 でも、なんか…私って、その横道のが、ストーリーとはなにも関係ない、はるか彼方へすっとんでしまうタイプなんですね。^-^;


 その、更新が1ヶ月かかってしまったという《8話目》に、《AKBエーケービー》というベテラン女性審査官が登場します。

 彼女の外見のイメージとしては、女優の《渡辺えり子》さんなんですが…中身(性格)は、私のもと同僚のオバサンです。


 彼女のぶっきらぼうで、そっけなくて、愛想のない感じが、このキャラクターにぴったりだったんで起用しました。(Wさーん、元気ぃ~?)


 このオバサン…私、最初は、めちゃくちゃ苦手で。(笑

 仕事で自分がミスしても、ぜったにあやまらないし、いつも上から目線だし、「アンタ何様!?」って、ずっと思ってたんですけど…一緒に仕事をするうちに、彼女の内面が見えてきて、じつは仕事がマジメだとか、おちゃめだとか、ぶっきらぼうの奥にやさしさがあったりとか、同じバレーボール好きなこともわかって、だんだん愛着がわいてきたんですね。


『ムール貝』を『貝』っていったり、サンドイッチは三角に切らず、食パンまるまる1枚に《具》をばーんばーんと挟んで、ばーんって丸ごと食べるとか…。つまり、彼女の場合、サンドイッチ1個は《食パン2枚と具がみっしり!》なのです。


 ある日の会話。

 W「今朝はさー、サンドイッチ2個食べてきたわ」

 私「つまり、それって、食パン4枚ってことですね?」

 W「なによ、なにが悪いのよ。サンドイッチなんて、そーやって食べるもの よ!」

 私「まさか…旦那と息子にも、そのまま切らないで出してるんじゃないでしょうね?」

 W「バカいうんじゃないわよ! あいつらにサンドイッチなんてシャレたもん、食わせると思う? あいつらは、キャベツにマヨネーズぶっかけたサラダだけよ!」

 私「えええッ!? サ、サラダ、だけぇぇーーーッ!?」(大爆笑)


 こんな感じの人ですから…^-^;

 ヒマさえあれば、からかって…いや、楽しく会話して遊んでいました。

 ちなみに、彼女、旦那を悪くいってるわりに、じつは《LOVE♪》なんです。

 そんなところも、憎めないでしょ? ね? なかなか、いいキャラクターですよね?


 なので、思い入れが強くありまして――そうなると、どんどん彼女の話しになっていってしまう。そして、気づくと、メインストリートから、1キロぐらい離れたところにいて、はるか遠くで、主人公『サクラ』が、私を呼ぶんです。


「おおおーーーい! たまこぉぉーー! もどって来ぉぉーーーい!!!」


 そして、先日――泣く泣く、6000字、消しました。(泣

 ああ…この脱力感。そして、絶望感。

 そして、横道にそれてることに気づかない、おバカさ加減…。


 2日ぐらい、落ち込みました。


 でも、おバカは復活も早いのです。(笑


 そして、いまは――なんとか、メインストリートにもどってこれて、筋道も見えて、ホッとしているところなんですが…ホッとしたら、したで、すべて書き終わった気分になってしまって、けっきょく気づいたら遊んでる。(バカ!)


 いまも、『サクラ』は異世界から叫び続けています。


「遊ぶな! 私をいつまで待たせる気ぃ!? もう、地球に帰っちゃうぞ!!!」


 お願い、まだ、帰らないで…。(泣



 ちゃんちゃん♪

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