第5話 《開かずの教室》に入った男の子?!
ゆっくりと目を開けると、
キョロキョロと見回すと明るい
窓の外には学校内に
「帰ってきたんだ…」
ほっと
今、何時なんだろう。
太陽の感じからして夕方にはなっていなさそうだが、お昼は
やばい、お母さんに怒られるかも!
さっきまでとは全く違うドキドキに
「九時…三十一分?!」
悠海が学校に向かったのが九時二十分くらいだったはず。自転車で学校まで五分だから、プリントを取りに行って図書室前に移動した時間を考えると、全く時間が
悠海は階段へと向かい二階へ駆け上がる。
図書室を通り過ぎて奥の開かずの教室の前に行くが、ドアは閉まっている。
引手に手をかけて引いてみても開くことはなく、
「えっ?どういう…」
「どうしたの?」
「えっ?」
後ろから声がして振り返ると、図書の
「あっ悠海ちゃんじゃない。どうしたの?」
よく本を借りに図書室に訪れるため悠海の顔を覚えてくれている歩美先生は親しげに声をかけてくる。
「あっ、えっと、忘れ物をして…ついでに図書室で本を借りようと…」
「ああ、そうなのね、ごめんなさいね、いま席を外してたから
手に持った
開かずの教室から
「悠海ちゃんが本好きで先生は
「あっ、前に先生が
「あっ、あの本ね、
先生がオススメの本を
「あそこの教室ってなにがあるんですか?」
パソコンを立ち上げながら悠海の
「えっ?先生も知ってるんですか?」
「生徒達が
「えっ?本当に開かずの教室なんですか?」
「そうよ。なんでも
しかし、悠海はあの教室のドアが開いているのを見た。しかも中にまで入って。
その先は夢なのかなんなのか分からないけど、開いているのを見たのだ。
「じゃあ先生もあの教室が開いているのって見たことないんですか?」
「ないわね、まさか入ってみようなんて考えてる?」
「いえいえいえ、ちょっと気になっただけで…」
まさか教室の中に入ったとは言えずに悠海は
「あはは、悠海ちゃんはそんな
自分と同じように開かずの教室の中に入った人がいるということに悠海は
「六年生…」
「そう、でも
「それは、
「うんうん、
「はあ」
「なんにでも
にっこり笑顔で手を
「他に借りる本はないわね?」
「あ、はい。夏休み前に数
「明日からステップアップ
悠海の学校では四年生以上は夏休みの始まりと終わりにステップアップ
「水泳教室が開かれる時はお昼から十五時まで開いているわよ、ステップアップ
「分かりました。ありがとうございます」
歩美先生から本を受け取ると、ぺこりと頭を下げて図書室を出た。
先生の言っていた六年生の男の子が気になって仕方がない。
もしかして自分と同じような
も違うとしても、《開かずの教室》に入ったのなら、その話を聞いてみたい。
五年生の教室は六年生と同じ三階にある。もしかしたら明日のステップアップ
悠海は階段を降りながら、《開かずの教室》の
「あっ、名前を聞けば良かったんじゃ…」
同じ
とにかく明日少し早めに学校に行って聞いてみようと悠海は本とプリントをカゴに入れると自転車を
「あー!あーづーいー!」
午前中とはいえむわんとする
終業式が終わったのは数日前のことなのに体は家の
「高校は早くにエアコンが付いたのに中学校も小学校も付いてないなんて、卒業してもこの辛さが続くとか最悪だよ」
「中学校はね、今度
「ほんとに?!」
「うん、お兄ちゃんが
「中学校にエアコンが付くならいいなあ。小学校はまだまだ先だろうね」
「ねー、早く帰ってアイス食べたい」
「食べたいー、クーラー効いた中でアイス食べたいー」
「いいね」
白いドットが入った紫色のシュシュで高めの
そんな
「あっ、そういえば昨日忘れ物して学校に来たんだけど、その時図書の歩美先生から聞いた話なんだけど、《開かずの教室》に
「
「そうなんだけど、《開かずの教室》が…」
悠海は声を小さくして万実の
「…開いてて入った、みたいな事言ってたらしくて…」
「えーー?!!」
「ちょ、しぃーーー!!」
急いで万実の口に手を当てると、キョロキョロと見回してみる。
万実の声に
「もう!大きな声出さないでね」
「ごめんごめん、あまりの事にビックリしちゃって。…それ本当なの?」
「分かんない。先生が言うにはあの教室の
「
「ううん、歩美先生が言うには
「んー?じゃあなんかの
「歩美先生そう言ってた。でもさ、…実は昨日、私も開いてるのを見た気がするんだよね…」
「…え?…
「それが分かんないの、ちゃんと見たと思ってるけど、
「ええ〜?」
「なんか
「まだ
「そういう意味じゃないんだけど」
「え?」
「ま、いっか。なんか
「うん、図書室に来ない子って言ってたから、歩美先生は名前は知らないんじゃないかと思って…」
「そうかもね、でも
万実の
「はーい、続きするぞー。席について、早く終わったら自由にしてていいから。ただしプリントは二枚あります」
『えーー!!』
「さあ
『ええーー!!』
「分からないところがあったらお友達に聞いてもいいし、先生に聞きにきてもいいよ。終わったら丸付けをするので持ってきてください」
重たいため息の
「
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