アイスクリーム
韮崎旭
アイスクリーム
アイスクリームになりたいな、アイスクリームになったなら、僕はきっと冷たく優しい不快な無害だ。アイスクリームになったなら、甘くて楽しい有機物。
それからアイスクリームになったなら、そこらのベンチで野垂れ死に。
楽な夏がすぐに終わるか、知っているのか、アイスクリームは意志を持たないから。
凍った悪夢になりたいな、嫌いな女の子、僕を憎んでくれるだろう、だって僕はほら、卑しい
食物
かつ、
生物遺骸。
アイスクリームになりたいな、アイスクリームは、一定以上の乳脂肪分を含む必要があるとされる、詳しくは食品衛生法などを参照されたい、定義。アイスクリームは街灯の下、夢に見た死を生きるのでしょう。
トラックの助手席で呪われた婦女暴行の名残にでも、供えようか、そういう悪趣味に
付き合わされるのも悪くはないさ、アイスクリームは盛夏の供儀と忘れ去られた死体の数をいくらでも、懐かしむ必要などどこにもないだろ、そうだろ、核実験場の被験体。
アイスクリームになりたいな、アイスクリームの足跡が、戦火の報道を読み上げては、僕らに何も残さずに・アイスクリームになればよい、甘い醜態が空に散るのをみたいのなら、アイスクリームになればいい、アイスクリームは忘却で、もしくは描いた焼却で、僕の罪科の表象で、したがってそれは言うだろう。
苦痛を生きろ。
アイスクリームになりたいな。君らと敵対するために。
アイスクリーム 韮崎旭 @nakaimaizumi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます