アイスクリーム

韮崎旭

アイスクリーム

アイスクリームになりたいな、アイスクリームになったなら、僕はきっと冷たく優しい不快な無害だ。アイスクリームになったなら、甘くて楽しい有機物。

それからアイスクリームになったなら、そこらのベンチで野垂れ死に。

楽な夏がすぐに終わるか、知っているのか、アイスクリームは意志を持たないから。


凍った悪夢になりたいな、嫌いな女の子、僕を憎んでくれるだろう、だって僕はほら、卑しい

食物

かつ、

生物遺骸。


アイスクリームになりたいな、アイスクリームは、一定以上の乳脂肪分を含む必要があるとされる、詳しくは食品衛生法などを参照されたい、定義。アイスクリームは街灯の下、夢に見た死を生きるのでしょう。

トラックの助手席で呪われた婦女暴行の名残にでも、供えようか、そういう悪趣味に

付き合わされるのも悪くはないさ、アイスクリームは盛夏の供儀と忘れ去られた死体の数をいくらでも、懐かしむ必要などどこにもないだろ、そうだろ、核実験場の被験体。


アイスクリームになりたいな、アイスクリームの足跡が、戦火の報道を読み上げては、僕らに何も残さずに・アイスクリームになればよい、甘い醜態が空に散るのをみたいのなら、アイスクリームになればいい、アイスクリームは忘却で、もしくは描いた焼却で、僕の罪科の表象で、したがってそれは言うだろう。


苦痛を生きろ。


アイスクリームになりたいな。君らと敵対するために。

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