第149話 ブラッディ・ハロウィン(2)邪悪なる企み

 ネットで、ブラッディ・ハロウィンと入力してみたら、映画と同じくらい、例の事件予告の事が出ていた。犯行予告メッセージもあり、それによると、ハロウィンの日に、大勢を血祭りにあげてハロウィンパーティーを開催するのが、自分の役目だと言う。なぜそうなのか、こいつは誰なのか、何も書いてないのでよくわからないので、悪質な悪戯だと判断しているのだろう。

 そしてその日はあちこちで色んな催しがあり、中でも映画『ブラッディ・ハロウィン』の試写会と舞台挨拶が、一番人が多く集まりそうだ。

 本当に、ファンかアンチかの仕業かも知れない。

「へえ。試写会には、ホラー感ある仮装をしていく事、か。何か、凄い集団になりそうだな」

 ちょっと想像して、笑う。これじゃ、百鬼夜行だな、と。


 翌日学校に行くと、試写会のチケットが当たったというクラスメイトから幽霊の仮装のアドバイスを頼まれたので、本物に会ってみるかと言ったら、全力で首を横に振られた。

 場所は撮影現場にもなった廃校の体育館で、隣は百鬼夜行を目論んだ幽霊達のいる大霊園だった。

 成程。彼らはこの撮影を見て、「ハロウィンっていいな」とか思ったのか。

 まあ、多分本物も観に行くだろうが、仲良く試写会を楽しんでもらいたいものだ。

 直とそう言って家に帰ったのだが、テレビを見ていて、とんでもない臨時ニュースに驚いた。試写会の会場入り口を続々と潜って行く客の後から、出演者やスタッフが入って行くと、その最後の1人がどこからか狙撃されて怪我をし、ジャック・オー・ランタンを名乗る人物が、

「試写会終了後に、パーティーを開始するよ。途中退席は許可しないし、開始を遅らせるのも許さない」

とネットに書き込みをしたらしい。

 近付いた警官は狙撃され、犯人が籠城していると思われる辺りにも、近付けないそうだ。

「えらい事になってるな」

 あの中に、首相の孫がいる。そして兄は警備部で、もしかしたら、何とかしないといけない立場なのではないだろうか……?

「兄ちゃん……!」

 僕は、慌てて立ち上がった。


 ジャック・オー・ランタンは、廃校の体育館入り口が良く見えるマンションの一室で、1人、カーテンの隙間から外を覗いていた。

「出て来る人間を片っ端から撃ち殺したら、生贄の数も十分になる筈だ。あそこを中心に、五芒星を描くように猫の死体も埋めたし。これで、悪魔が復活する」

 ニヤリと嗤って、壁に貼り付けた写真を睨みつける。辞めた会社の、元上司と元同僚達。

「俺をバカにした奴らに思い知らせてやる」

 そして、上映が終わる時間を楽しみにしながら、ピザ、コーラ、唐揚げなどで、1人パーティーを始めたのだった。







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