第7話 初めての討伐依頼

 あれから数分後、エイトの説明によりなんとか誤解が解けた私たち。

 店主はあんな人間性でも腕はいいようなので、オーダーメイドで剣と盾を作ってもらうことになったのだったが……


「はぁ? 1000Gも手持ちがないだと?」


「まだ駆け出しでして……」


「なら、前金で300G。後に500G。それなら、剣だけ作ってやる。冒険者なんだろ? 金を稼いで3日後に来い。あんたの腕なら問題ないと思うぜ」

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「というわけで、冒険者ギルドに来たっす」


「依頼を受けるんだよね?」


 エイトは後ろ歩きで「そうっすよー」と言いながら、受付カウンターの方に進む。


「あっちのクエストボードみたいなところで依頼を見るんじゃないの?」


「くえすとぼーど? ああ『掲示板』っすね。あっちのは字が読めないと受けれないっすよ。カグラさんは受付嬢に聞いた方が早いっす」


「そうだった……」


 落ち込む私をよそにエイトは受付嬢と何がオススメか話を始めていた。

 初めてならスライム討伐がいいとか

 実力はDランク冒険者なんだから草原の一角ムカデ討伐がいいとか

 なら、薬草採取も経験するべきなどなど。


 結局は、近くの洞窟に住み着いたゴブリン退治となった。

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「やっ! せい! やっ!」


 私の華麗な3連撃。ゴブリンは死ぬ。正確には3匹のゴブリンが。

 てめぇらの血はなに色だーーーー! ってことでゴブリンの血は緑色でした。赤色だとまだ耐性ないからね。よかったよかった。


「カグラさんやっぱ強いっすね。ゴブリンを一撃なんてDランクでもなかなかいないっすよ」


 エイトによいしょされてドヤ顔の私は嬉々として洞窟内のゴブリンを狩りまくる。


 倒されたゴブリンは次々と黒い靄に変化。冒険者ライセンスがそれを少量吸収する。それによって何を何匹倒したかが記録され、ギルドはそれを確認するだけでいいというわけだ。便利なシステムだなーと感じる私。


お? 靄にならないで残ってる部位があるちょうどゴブリンの角だけだ。


「へい。エイト君これはなんだい?」


「カグラさん……キャラ変わってるっすよ。それは落とし物ドロップアイテムっす。ギルドで買い取ってくれるんで、持って帰るといいっすよ」


 くっ……私としたことがちょっと気分がよくなって、我を忘れてしまっていた。

 ゴブリンの角をアイテムボックスにしまい、深呼吸。


「すー、はー……なるほどね。スライムは全然落とさなかったけどそんなもん?」


落とし物ドロップアイテムはたまに落ちるっす。強い魔物になるほど残りやすいっすから、スライムなんて何も落とさないんじゃないっすか」


 その後も順調に討伐を進め、洞窟の最深部まで到達。宝箱を探すも「そんなものないっすよー。早く帰りましょうよー」とエイトが言うので素直に諦めて教会に帰還。

 初めての転移は新鮮な感覚だった。視界がぼやけて、しばらくすると教会に着く。エレベーターに乗っているような感覚に近いかもしれない。


「はい。ゴブリン23匹の討伐を確認しました。これが今回の依頼の報酬です」


 カウンターで報告をし、受け取った袋を開ける……

 気になったのでエイトに確認する。


「ねえ、ゴブリンってこんなに安いの?」


「どれどれ……2の3の4の……138Gっすね。相場通りっすかね。ゴブリンでそれだけ稼げればいいほうっすよ」


「……まじか」


 剣、高すぎだろ。あの店主は何を作ろうとしてるんだ?

 これは本格的に金策を考えないといけないかもしれない。

 あの店で後の500G払っても1000G近く持っておきたい私は明日から頑張ると決意してすぐに眠りについた。

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