忌み事

父方の祖母の子ども時代の話だというから、戦前の話だ。


村の地主の家に、双子が生まれた。当時、双子は忌むべきものとされており、一方は座敷牢で育てられたという。

どのように扱われていたのかはわからない。しかし、気が狂ったというのだから、ろくなものではなかったのだろう。

あるとき、この双子の片割れが、座敷牢から逃げ出し、敷地内の木に首を括って死んだ。その下で、もう片方も変死していたという。


実はこの地主の家は、私が子どもの頃にもまだ存在していた。小学校の通学路沿いにあったのだ。大人の背丈よりも高い塀が巡らせており、敷地内には立派な木が何本も植えられている。塀と木に遮られ、中の建物は見えない。一日中薄暗く、不気味で、首を括る木には事欠かないだろうと感じたことを覚えている。

私は見たことがないが、幽霊が出るという噂だった。


数年前にこの土地は売り払われ、何軒もの新しい住宅が建てられた。私はもうその地域から離れてしまったので、新しい住民との付き合いはない。おかしなことがあるという噂も聞かない。

ただ、実家に帰るとときどきその土地の前を通ることがある。塀も木もすでに取り払われているのだが、不思議と薄暗さは残っている。

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