第7話
お茶会では、雑談を交わした。
猫之助にとっては、お茶会などはじめてのことだった。
楽しさはあったものの、どこか緊張する。
すると玉藻が声をかけてきた。
「猫之助。
全然飲んでないじゃないか?」
アイスティーを片手に玉藻が、猫之助の肩に手を当てる。
「ホットなので……
そう、グイグイはいけませんよ」
猫之助は、そう言って苦笑いを浮かべた。
「なに?
猫之助だから、猫舌なのか?」
玉藻が小さく笑う。
猫之助は、玉藻が少しかわいいと思った。
玉藻は、猫之助を見て萌えが膨張するばかりだった。
ただ、綾はその光景を羨ましそうに見ているだけだった。
それを見かねた勇気が綾に尋ねる。
「君も入ればいいのに……」
すると綾は、驚きと戸惑いの表情で言う。
「私なんか、入れませんよ……
なんか、カップル成立!って感じですし」
そう言った綾の表情は今にも泣きそうだった。
「んー。
出会いを求める会じゃないから、そんなの気にしなくていいと思うよ?」
「そうなんですか?」
綾は、戸惑う。
「うん」
「ダメですよね。
私、こんなんだから友だちとか出来ないんですよね」
綾は悲しい表情を浮かべる。
「大丈夫よ。
友だちなんて、気がつけば出来るものだし……
こうやって勇気くんと話ができるんだから、その時点で友だち成立かもだよ?」
はるかが、そう言ってニッコリと笑う。
「そうだよ。
私なんか、この中で一番の年配者だから浮いている気がしてもどかしいよ」
正三が、そう言うと大輔が言葉をかける。
「そんなこと気にしなくていいっすよ。
人間いつかは、歳を取るんだし歳上の意見とか聞きたいっす。
仕事ってどうやったら見つかるっすかねぇ?」
大輔のことばに正三が、苦笑いを浮かべながら言った。
「私は、公務員だからね……
試験と面接を数会しただけですぐに受かったので参考にならないかもしれないけど……
アドバイスが、出来るとすれば諦めないことだねぇ。
『捨てる神あらば拾う神あり』って言うだろう?
最近の会社は、最初から採用しないのに合同説明会で新入社員を募集する会社もあるらしいからね。
まぁ、なんというか受からなければ運が悪かったと思うのが良いと思うよ?」
「そうなんっすか……」
大輔の中では答えは見つからない。
ただ、心のなかにもやもやが残るだけだった。
すると万丈が口を開く。
「いっそうのこと俺みたいに自営業してみたらどうだ?
露天商は、なかなか儲からないが気楽なもんだぞ?
それに有名になれば自分が作ったアクセサリーが、高く売れるようになる。
夢を見ようぜ!」
万丈は、そう言って豪快に笑った。
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