レイチェル

『ケンカ 仲直り』まで打っておいて、ボタンがクリックできない。マウスの調子が悪いとかそんなんじゃなくって、なんならもとよりマウスは無いんだけどそうじゃない。検索ボタンを押すことにいまいち納得がいかないと言うか、なんでわたしがそんな事を調べて、それであいつに対して行使しなきゃいけないのか、それがどうもわたしの中でうまくいかない。あいつから何がしかの解説を受けるときはわりとストンとわたしの中に落ちて、うまくいくんだけど、今日は、いや今日じゃなくて最近はそうなってなかった。


あいつがこの部屋に来なくなって三日である。


三日である。


いや、まぁ、あれだよね。昨日と一昨日は珍しいこともあるものね、ぐらいでなんとか精神は落ち着いていたのだけれども。二度あることは三度ある、と言うらしいけど、要は二度目と三度目には同様の理由があって、だから回数が重なるのも頷ける、とかそういう意味だと、わたしはとった。


メグちゃん曰く、わたしとサトーはケンカをしたらしい。こうなるんだったらケンカについてメグちゃんから詳しく聞いておくべきだったかな?とも思うけど、でもな。そんなに意味が無いような気もする。おそらく、メグちゃんが語るのはふつうのケンカに関する話であって、それがわたしとサトーの間に使えるとはどうも思えない。


それに、メグちゃんケンカしたこと無いって言ってたじゃん。


なんか調子でないなぁ。いつもならもうちょっと頭がいい気がする。こんな初歩的なことに気付かないなんてことはない。


わたしの部屋にわたし以外に音を立てるものがいない。そんなことが、そんなことで。いつもよりわたしは弱くなる。………気付いちゃった。はぁぁぁ〜〜〜。なんなんだろうね。なんなんだろうねホントに。あいつはわたしにとってなんで、わたしにとってあいつはなんなんだろうね。


実験体だろ、とあいつは言うかな。……思ってたとしても言わないな。友だち、ってのもなんか違うし。友だちだったらいっしょに本読んだりキライなやつの話とかするんじゃない?しないし、できないから友だちでもない。マイベストフレンドの称号はメグちゃんだけの特別称号だし……。ホントなんなんだろうね。


いつもだったら一日一回は顔を出すから、来たとわかった時に質問ぶつければいいんだけど、あの日から、珍しく話を途中で切って出てったあの日から。わたしはどうしたらいいかわからない。


パソコンからログの話はした。反応はなかった。メールだから、読んだかどうかすらもわからない。


少しずつ、わたしが崩れていくような、そんな気分になる。まぁもともとボロボロなんだけどさ。なんというか、それに気持ちが追いついてきたっていうか。はは。ろくでもないなぁ。


ダメだダメだ。ダメダメだ。もう今日は寝ちゃおう。眠って、明日になったらしれっとあいつは来るかもしれない。なんなら話合わせようとして、今ごろ動画を観漁ってたりしてね!そいつはすげぇや!


ともかく、今日はもう寝よう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る