第9話

「・・・早かったんじゃね?」


「・・・まぁ、いつ店を閉めるか分からないしねぇ」


「・・・コショコショ」


「動いたって」


「・・・ステファンに任せたらダメだったんじゃない?」


「・・・もう遅い。とりあえず、尾行開始」


「はーい」


 おっちゃんは店を畳むのが想像以上に早かった。


「ミシェル、動くよ」


「・・・もう畳んだの?」


「あぁ」


「速くない? 本当はロボットなんじゃない?」


 笑いながら言っているが、本当かもしれない。


「・・・なに? 冗談・・・だよ?」


「いや、ロボットかもしれない」


「え?」


「さっき、ブレスレットを貰った時に体温を感じなかった」


「え・・・? じゃあ、報告した方が・・・」


「いや、多分ダミアンはそれをわかった上で行動させてる」


「やっぱりそう思うか? エリック」


「うん。アレクサンドルもなんだね」


「あぁ。多分、あいつは裏で何かと繋がっている」


「うん。それは分かるけど・・・」


「あ、林に入っちゃう・・・!」


「おい、追いかけるぞ!」


「え? もう?」


「ミシェル、逃げられちまうぞ?」


「いや、ミシェルが正しいよ。もう少し待った方がいい。まだ・・・」


「あ? わかんねぇけど俺は行くぞ!」


「あ・・・!」


 アレクサンドルはどこに行ったか分からなくなってしまった。


「・・・行かないとね」


「うん。そろそろどう?」


「・・・見つけた」


任務の時は話すのか。良かった。


「え? どうゆうこと?」


「発信機を付けておいたんだ。アレクサンドルの背中に」


「・・・後で怒られない?」


「なんでだ?」


「1人をなぜ囮にした!って」


「・・・確かに」


「・・・どうするのさ」


「行くか?」


「うん」


 ステファンは小声だがリーダーっぽく「アレクサンドルと合流を最優先事項とする。しかし本来の目的である尾行を忘れるな」


「了解・・・!」


 アレクサンドルを追いかけて林に入った4人を追いかけている人物がいた。


「・・・子供ですけど?」


『ただの子供ではあるまい。尾行を続けろ』


「はーい」


『おい!上官に向かってその態度はなんだ!』


「だって同い年じゃんか・・・」


『それでも上官なんだから、任務中くらいはちゃんと呼べよ・・・』


「はいはい。林に入るから無線は極力なしで」


『分かっている』


「え? なんで?」


『ドローンを飛ばしてるし、カメラを服に付けてるし』


「じゃあ、ナンパとか出来ないじゃん!」


『お前、帰る時にナンパしてたから遅かったのか?』


「いいえ! そんな事はありません!サー!」


『分かった。来月、減給な』


「そんなぁ・・・」


『早く行かないと見失うぞ?』


「そんなことより給料・・・」


『早く行かないと、1/4になるぞ?』


「oh・・・」


『・・・見失うぞ?』


「あ、ほんとだ。指示をよろしく」


『はいよ。それでは、子供たち4人を尾行し彼らの情報を確保せよ』


了解ラジャー


 彼が林に入ると「・・・中々いい男じゃないか。」と呟いて、とんでもない形相で見ていたごつい人間がいた。


「・・・よし、俺もそろそろ行くか」

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