第7話

「エリックくん、あのお店行かない?」


「うん。いいよ。」


「いらっしゃい。ミシェルちゃんの恋人かい?」


「え、いや、違いますよ~。」


「そうかい。何を買いたいの?」


「この子のブレスレットを買いたいの。」


「え?そうだったの?買わなくていいよ。」


「だめ。家はそうゆうきまりなの。」


「わ、分かったよ。」


「ブレスレットね。それなら・・・」


 奥の方から箱を持ってきてくれた。恐らく、店に並べてると盗まれるからだろう。


「はい。これが男の子用。まぁ、アベック用だけどな。」


「アベック?おじちゃん、アベックって何?」


「アベックって知らないかい?アベックだよ。恋人。」


「こ・・・こい・・・なんでそうゆうの選ぶかな!全く。」


「あら、お怒りですか。」


 なんだろう、おっちゃんなのに女の子みたいな・・・


「エリック!」


この人、前にどこかで見たことが・・・


「エリック?」


「ん?何?」


「ブレスレット、どれにする?」


「うん。ミシェルのおまかせで。」


「エリックのなんだから自分で選んで。」


「えー!」


「えー!じゃない!早く選ぶ!」


「うーん。」


 青くて綺麗なブレスレットや、黒いけど、所々が白くなっている石を使ったかブレスレット。他にもカラフルなものが沢山あった。


「やっぱり、おまかせじゃダメ?」


「なら、おじさんが選んでもいいかな?」


「・・・仕方ないからいいよ。」


「ありがとう。じゃあ、これはどうかな?」


藍色のブレスレットだった。


 ミシェルは「・・・なんか地味じゃない?」と言っているが、俺は中々気に入った。


「これね、素早さが上がる効果が着いてるの。」


「へぇ~」


「あら、あんまりお気に召さなかった?」


「何段階アップするの?」


「それがなんと、10段階アップするの!」


「はぁ!?10段階!?」


「・・・そんなにすごいの?」


「すごいよ!普通、ブレスレットなんて2段階くらいまでしか上がらないんだから!」


「な、なるほど・・・」


 ミシェルのテンションについていけない。


「おじちゃん、これで!」


「はいよ。250マリーね。」


「え!?高い!」


 すると、おじちゃんが急にニヤッと笑って、


「冗談だよ。プレゼントしてあげる。」


「ホントに!?ありがとう!」


 ミシェルが手を伸ばしたが、それを見事に回避するおじちゃん。


「・・・ん!・・・ん!もう!なんでくれないのよ!」


「君が告白して、成功したらプレゼント。」


「えー!なんでよ!」


「だって、好きでしょ?彼のこと。」


「・・・んな!?そ、そんなわけないですよ!」


「へぇー。なら、あげないよ?」


「ひ、酷いです。女心を弄んで。」


「ミシェル、付き合って下さい!」


「ふぇ、へ?」


「す、好きです・・・。」


「えっと・・・その・・・」


「ほら、イエスって言わなきゃ。」


「は、はい。よろしくお願いします。」


「カップル成立!おめでとう!」


「・・・なんか恥ずかしいね。」


「・・・う、うん。」


「はい、お二人さん。これあげる。」


 2つともお揃いのブレスレットだった。


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