占い師に必要な力は、まず洞察力。そんな気がします。実際に占い師の方がどれくらい未来を予知する力を持っているかは分かりませんが……人間の心理をよく知っていることと、客から得られる情報を元に、鋭く何かを見抜く力。これは恐らく不可欠でしょう。
この物語の占い師さんは、人間の心理をちゃんと知っています。そして、本当に未来も見えているような、すごい占い師さん。彼の占った未来に納得のいかなかった主人公は、自分の願いを何とか叶えたいと彼に訴えます。
この物語の怖さは、どこまでが占い師の力で、どこからが自分の自己暗示なのかがわからない点。「占い師に見てもらったのだから必ず叶う」と信じたから、実現した可能性もある。そう感じます。
けれど、そんな主人公が手に入れた「未来」とは……?
本当に当たる占い師に出会った時は、その人の言うことには黙って従うべきなのかもしれない——そんな、リアルに背中の寒くなる物語。おススメです。