第二章 七節 困惑

 肌で感じる空気と平衡感覚で、もの凄い速度で落下していることは分かる。水面に落ちるのであれば、姿勢を整えておけば軽傷ですむかもしれない。しかし、面倒なのは落下する地点が地面だった場合だ。おそらく全身の骨は砕けるし、内蔵も潰れて

 瞬間的に圧倒的な衝撃。頭から足先まで体が一直線上に押し潰されるように全身の部位が同じ位置に圧縮される。刺さる痛み折れる痛み潰れる痛み破裂する痛み穴が開く痛み掻き回される痛み擦れる痛み。激しい痛みが私の全身を襲った。

 がああ!!ああ、痛い……、痛いいたいいたい、……痛いイタイ……。痛い、があああぁぁぁ……、あぁ、……。

 何時間喚いたか……。ようやく体が再生したようで痛みも大分引いてきた。

 それでも痛いよ、まったく……。

 痛む体を無理やり立たせて体に付いた汚れを払いながらそう呟いた、はずだった。

 あれ……?

 また呟いたはずだ。けれど声が聞こえなかった。

 どういうことだい?聴覚はしっかりと機能しているはずだが……。

 いつの間にか機能していなかった視覚が機能していることに気が付いた。辺りを見渡すと周りは木々が茂っている。たぶん今私がいる所は山の中。遠くに街が見えるし今回の目標はおそらくあそこにいるのかな。

 ……それにしても今回はどうしてこんな荒々しい登場だったのだか……。普段だったら最初から地面を踏みしめているし、そもそもいきなりこの中に入れられるなんてこと初めてだ。情報だって入ってきていない。

 一体どういうことなんだ……?

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